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ユーベが魅せた華麗なパスワーク。カウンター狙うポルトを翻弄。手堅さだけではない攻撃的スタイル

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

サイドを制圧したユーベ。パスワークでゴールを奪う

ピアツァ
先制点を決めたマルコ・ピアツァ【写真:Getty Images】

 ハマったのは、ミラレム・ピャニッチを中盤の深い位置でプレーさせたことだ。ポルトは彼とDFラインを狙ってプレスを掛けてくるが、正確なボールコントロールと長短のパスでことごとくかいくぐる。トップ下から自由自在にスペースへ流れるパウロ・ディバラも経由し、ボールはポルトのプレスよりも常に一歩早いタイミングで左右に回った。

 そして両サイドでは、サイドハーフとサイドバックの連係が利いた。左のマンジュキッチ、右のファン・クアドラードが中に絞ってボールを触ると同時に、対面の選手を引きつけてスペースを空ける。そこにアレックス・サンドロやシュテファン・リヒトシュタイナーが上がると、ピャニッチから素早くパスが出る。

 フラットな4-4-2でサイドのゾーンを固め、ボールを奪おうとしていたポルトの狙いはここでことごとく外された。左右両方のスペースにユーベの選手の侵入を許し、後手に回った末にテレスがレイトタックルを連発する。ポルトのヌーノ・エスピリト・サント監督は「他の決断も取れたはずだ」と警告2枚のジャッジを批判したが、劣勢はなるべくしてなったものだとも言えた。

 そこからはほぼユベントスのワンサイドゲーム。サイド、中央ともに制圧し、次々とシュートチャンスを作る。ポルトの最終ラインの集中が切れなかったため得点を取るまでには時間を要したが、それも結局押し切った。しかも、パスワークで崩してだ。

 ゴール前での圧力を増すために、クアドラードに代えてマルコ・ピアツァを投入。ユーベはその5分後に点を取るわけだが、崩しは実に華麗なものだった。右サイドからそのピアツァが仕掛け、そこからパスが細かく回り、ポルトの守備ゾーンの隙間にポジションを取ったディバラに通る。そこからゴール前のスペースに出されたパスは一度相手DFがカットするが、これが走りこむピアツァの目の前に落ちる。ピアツァはこのチャンスを逃さず、冷静にシュートを決めた。

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