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レアルを「イラつかせた」ナポリ。“3%”の可能性にかけた3つの仕掛け

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

個で敗れたナポリ。それでも指揮官の眼差しには達成感

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事実上の2得点を決めたレアル・マドリーのセルヒオ・ラモス【写真:Getty Images】

 技術を磨いて戦術を詰め、チームワークで互角以上に渡り合えても、そこから先は個々のフィジカルで凌駕される。あまり話題にはされないが、屈強で高さのある選手もそれなりに揃えていることが今のレアル・マドリーの強さの一部分を形成してる。特に小兵揃いのナポリにとっては、もうこれはどうしようもなかった。

「うちのわずかな弱点だ。相手が高いレベルになれば、5cmくらいの身長差が致命的になることもある。そして点を取られた時点で勝負は決した。激しく攻撃的なサッカーをするには士気の高さが必要だが、モチベーションが落ちたらリズムの維持も難しくなった」。試合後の記者会見で、サッリ監督は冷静に振り返ってた。

 会見場では、前半にやり込まれたレアル・マドリーのジネディーヌ・ジダン監督の方に、試合内容についての厳しい質問が飛んでいた。このことは確かにナポリの健闘を物語ってはいたのだが、これについてもサッリ監督は冷静だった。

「強いクラブには当然のように強力なタレントがいるもので、こうなると逆にチームプレーも必要なくなる。戦術での縛りはそういったタレントの力を阻害してしまう場合があるからね」

 チームプレーで善戦したのに、それをこのレベルで凌駕されるのも、このスポーツの道理とはいえ悔しいものに違いない。しかし、やることをやり尽くした上での結果は、次のステップにもつながる。

「レアルがあれだけ不正確なボールを後方から蹴り続けた試合も記憶にない。もちろん結果は悔しいが、50分間相手を嫌がらせることは大いにできたはずだ」。現実の戦力差を見据えつつ冷静に語ったサッリ監督の眼差しには、ある種の達成感も垣間見えた。

(取材・文:神尾光臣【ナポリ】)

【了】

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