鹿島、FIFAクラブワールドカップ2016で躍進の秘訣。サッカー戦術解析モデルBuildup 6による分析

2017年03月26日(Sun)9時00分配信

text by 大井義洋 photo Getty Images
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サッカー戦術解析モデルBuildup 6、分析の枠組み

【図1】鹿島の攻撃ではZone14が効果的に活用された
【図1】鹿島の攻撃ではZone14が効果的に活用された。

 Buildup 6ではピッチを横6等分、縦3等分に分けて18分割し、上から下、左から右に番号を振り分けている。14番目に位置するエリアが攻撃の最も重要な空間であり、これをZone14(コア領域)と呼んでいる(図1参照)。

 Buildup 6において、プレーの達成度を区分けするプレーレベルは以下のように定義されている。

レベル1:攻撃を試みたとき
レベル2:ボールを失わずに相手のペナルティエリアまで侵入したとき
レベル3:シュートまでたどり着くまたはゴールにつながる攻撃をしたとき

 また、攻撃パターンは以下の6つに分類される。

(1) Zone14(コア領域)プレー:Zone14のコア領域を活用した攻撃
(2) Penetrate(スペース侵入)プレー:相手守備の後方のスペースを攻略する攻撃
(3) Side(サイド)プレー:サイドを使った攻撃
(4) Counter(カウンター)プレー:相手からボールを奪取したあと迅速に行う攻撃
(5) Long Ball(ロングボール)プレー:相手からボールを奪取したあとに、相手の陣地までロングボールで運ぶ攻撃
(6) Simple Link(単純連結)プレー:自陣でボールを回しながらチャンスをみる攻撃

 サッカーの試合は戦術の戦いであると言える。対戦相手との力関係に応じて、戦術を変えなくてはならない。相手に合った戦術を選択し、その戦術を選手たちがどれだけ体現できるかが、そのチームの成績を左右する。この点において、鹿島の戦術は秀逸であった。

 最初の2試合で対戦したチームは鹿島より戦力が比較的劣っていて、危なげなく勝利することができた。準決勝では、戦力的に優位のチームを相手にCounter(カウンター)プレーを活用し、高い決定力で勝利。決勝戦では敗れたが、2ゴールを入れ、意義のある結果を納めている。

 Buildup 6を用いると、大会を通して鹿島が戦術的に安定していたことがよく分かる。最初のゲームから決勝まで、相手の戦力が強くなるほどCounter(カウンター)プレーを試み、回数は10回-12回-19回-27回と増えていった。相手の攻撃を先に受け止めてからCounter(カウンター)プレーで得点を狙うパターンを多く駆使したことが分かる。

 一方で、相手の裏のスペースを利用するPenetrate(スペース侵入)プレーの回数は試合を重ねるごとに減少した。強いチームの裏のスペースは、攻め入ることが難しい。相手が強くなるほど、Penetrate(スペース侵入)プレーの数が14回-13回-10回-5回と減ったのは自然なことであった。

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