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セリエA 7年前

“銀行員”からCL16強監督。ナポリ率いるサッリとは何者か?異色の経歴歩む頭脳派指揮官の数奇な人生

シリーズ:○○とは何者か? text by 神尾光臣 photo by Getty Images

異色すぎる経歴を持つサッリ…どのようなキャリアを辿ってきたのか?

ナポリ
レアル・マドリーに惜敗するも、サッリ監督は自身初のCLでナポリをベスト16に導いた【写真:Getty Images】

 1959年1月10日、ナポリに生まれる。もっとも父親の仕事の関係で、育ったのはトスカーナ州のアレッツォ近郊にあるファエッラという小さな街だ。地元のクラブでサッカーをしていたが、その時点で選択した進路はプロではなかった。大学に進学し、経済学や統計学を学んだのちに、トスカーナ銀行(のちにモンテパスキ銀行に吸収)で働き出す。仕事が終わった後に練習に行き、週末の試合に臨むような、そんなアマチュアプレーヤーの一人だった。

 しかし当時から頭脳派プレーヤーとして、チームの中では信頼があったという。所属していた地元クラブのスティア(当時第8部)では左サイドバックを務め、戦術上のコーチングをして“ピッチ上の監督”として振る舞う。ある日クラブからはプレイングマネージャーを打診されるが、それを固辞し現役を引退、関心は指導に向いた。

 それが1990年の話で、そこから『銀行員監督』のキャリアがスタートした。銀行では銀行間信用取引や企業間取引を担当し、イギリスやドイツ、スイスにルクセンブルクなどの金融の中心地に赴くことも多数。余暇には、サッカーの指導とその研究に没頭していた。

 対戦相手のビデオはきちんと収集し、戦術は緻密に立てる。試合から逆算してコンディショニングを図り、中長期的なトレーニングプランを練るなどプロ顔負けの指導を行なっていたという。

 当然、高水準の指導を受けたクラブは好成績を挙げた。サッリはスティアを率いたのち、地元クラブのファエッレーゼを9部から7部に上げ、7部にいたカブリーリアやアンテッラを6部に昇格させる。そして2000年から所属した当時6部のサンソビーノの監督に就任すると、1年目にしてなんと第5部相当(当時。カテゴリーの改変により現在は4部)のセリエDに昇格させたのだ。

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