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サッカー本大賞2017、「読者賞」は『自分を開く技術』伊藤壇著が受賞!

text by サッカー本大賞実行委員 photo by Kenzaburo Matsuoka

自分を開く技術
『自分を開く技術』の著者・伊藤壇氏の代わりに授賞式に出席した担当編集の小林渡氏【写真:松岡健三郎】

 小雨の降る3月31日、神田明神会館にて第4回を迎える「サッカー本大賞2017」の授賞式が行われた。

 今回ノミネートされた11作品の優秀作品に賞状が授与された。その後、本年度の「サッカー本大賞」「翻訳サッカー本大賞」「読者賞」が発表された。

 フットボールチャンネル上での読者投票によって選ばれた「読者賞」には、『自分を開く技術』(伊藤壇著、本の雑誌社刊)が選ばれた。投票総数3115票のうち、799票を獲得しての受賞となった。

 著者の伊藤壇氏は“アジアの渡り鳥”として知られ、日本のみならずアジアの20の国と地域でプレーし、それぞれの国で高い評価を獲得してきた現役選手。41歳になった現在は東ティモールのASポンタ・レステに所属し、リーグ戦の真っ只中にある。

 授賞式には代役として『自分を開く技術』の編集を担当した本の雑誌社の小林渡氏が出席し、「本当に読者のみなさまにいただいた賞だと思います。本当にありがとうございました。伊藤さんは現役はもう少しだと仰ってますけど、最後までぜひ応援してください」と感謝を語った。

 小林氏は受賞スピーチで東ティモールで戦う伊藤氏からのメッセージも代読。そこには喜びとともに、感謝や今後へ向けた意気込みなどが綴られていた。ここにその全文を掲載する。

▽伊藤壇氏「サッカー本大賞2017 読者賞」受賞メッセージ

 みなさんこんにちは。「アジアの渡り鳥」伊藤壇です。

「My name is ITO, not ETO」

 これが、いろんなチームを渡り歩いてきた私のお決まりの自己紹介です。アジアは笑いの沸点が低いので、大抵はこれでドカーンときます。

 自分にとって初めての本である『自分を開く技術』が、サッカー本大賞の優秀作品に選ばれ、さらに読者賞をいただくことになったと知り、とてもうれしいです。

 私は今、東ティモールのポンタレステというチームに在籍し、リーグ戦まっただ中です。読者の皆さんに選んでいただいた「読者賞」を直接受け取れず、本当に残念です。こうして受賞できたのも、本の雑誌社の杉江由次さん、編集担当の小林渡さん、そして応援してくださるたくさんの皆さんのおかげです。

『自分を開く技術』を出版したとき、私のキャッチコピーは「アジア18の国と地域でプレー」でした。しかし、おかげさまで今、東ティモールのポンタレステに入ったことで、20の国と地域でプレーという、大台に乗りました。

 本の最後にも書きましたが、ベガルタには「戦術君」という伝説のサポーターがいました。毎試合彼が掲げるボードは、彼独自の理論に基づいていて、多くは謎でした。しかし、その中に自分のサッカー人生にも通じる、大切な言葉があり、私は今もそれを大事にしています。

 それは、「2足す2は4。2かける2も4。」というものです。数字の2と2は、足しても、かけても、答えは同じ4になります。戦術君曰く、「方法は違えど、最後にそこにたどり着けばよい」という意味だそうです。

 私は、Jリーグでプレーはしましたが、ヨーロッパのチームに移籍するという、いわゆる日本のサッカー界の王道とはまったく違う道を歩んでいます。しかし自分が目標に定めた「サッカー界に名前を刻む」というゴールには、着実に近づいていると思っています。今日、こうして読者賞をいただけたことも、その道しるべの1つだと思います。

 残り少ない現役生活となりましたが、引き続き、ぶれずにオンリーワンの道を突き進みたいと思います。皆様、応援よろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。

2017年3月31日
伊藤壇

【了】

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