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“キーマン”岡崎を無効化したアトレティコのプランBと、望み繋いだレスターのプランB

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

2ndレグへ望み。レスターの戦術変更

ディエゴ・シメオネ
アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督。プランBも手の内に入れている【写真:Getty Images】

 前半の45分間、アトレティコがペースを握ることができたのは「もう1つの顔」があったからだった。「似た者同士」と言われるこの2チームだが、実際には対照的なチームといえるかもしれない。

 レスターは、ある意味“弱者の兵法”を突き詰めた結果、現在のスタイルが生まれ、今季前半の苦戦からも分かるように、異なるパターンの戦略は立てられない。

 対してアトレティコは、その気になればボールを支配する力もあり、ロングカウンターの精度も高い。つまり、現在のスタイルは数多い選択肢の中から最も勝利に近いものを選んだに過ぎない。チームとしての奥行きではアトレティコが大きく上回る。それを再認識させた前半だった。

 それでも、レスターにとって後半の結果は納得できるものだったはず。シェイクスピア監督は、プレスを無効化された岡崎に変えて、MFのキングを投入。センターハーフのディディをアンカーに据えて4-1-4-1にシステムを変更した。

 前線からのプレスが効かず、サイドも押し込まれた状態で破綻寸前だったチームを、中盤を厚くすることで踏ん張った。レスターの“プランB”は、この試合での同点・逆転を狙ったものではないが、2ndレグを含めた尺度で0-1をOKとしたと解釈するならば効果的だったといえるだろう。

 2ndレグはレスターのホーム、キング・パワー・スタジアム。1stレグの1-0という結果は、決着をつけるには不十分なため、勝敗の行方は2ndレグで決することとなる。

 何れにしても、昨季はバルセロナとバイエルンを撃破して決勝に進出したアトレティコだが、その2チーム以上に、“プランA”を使えないこのレスター戦には、やりにくさを感じているはずだ。

(文:海老沢純一)

【了】

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