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Jリーグ 7年前

磐田・中村俊輔が稀代のファンタジスタたる所以。土壇場で発揮、研ぎ澄まされた集中力

text by 青木務 photo by Getty Images

サイドからのスタートで、ボールに絡む回数は限定されるが…

 続く横浜F・マリノス戦では試合開始からボールに触るまで時間を要し、思うようにパスを受けられなかった面はある。それでも時間の経過とともに10番にボールが集まりだすと、バイタルエリアで受ける場面も見られた。「今まででは一番アグレッシブにできた」と、チームと自身に一定の手応えを得たようだった。

 サイドからスタートすることで、確かにボールに絡む回数は限定された。しかし、彼が持った時に攻撃のスイッチが入るのはこれまでと同様だ。松浦が1トップに寄り添うことを意識しているため、川又堅碁が孤軍奮闘を強いられる機会も少なくなった。

 大井健太郎は「俊さんがボールを触った時に、前線のケンゴだけじゃなくてマツも近くにいてくれるので、攻撃になった時に迫力が出る」と話すが、今の磐田のひとつの形として機能していた。そして、ディフェンスリーダーはこうも語る。

「俊さんはボールにたくさん触った方がリズムが出るし、真ん中にいた時の方が触れていたと思う。もう少し、右サイドの俊さんに意識的にボールを集めてもいいのかなと。マリノス戦は最初ボール触るまで時間がかかった。俊さんはキープ力もあるから周りも空いてくるし、集めておいて次はオトリに使って逆を突くとか、そういうこともできるのかなと」

 鳥栖戦では【3-4-2-1】のシャドーの一角を務め、過去2試合に比べて中央でのプレー機会も増えた。主に右サイドと中央でパスを呼び込み、動き出す味方を操った。84分にアダイウトンがピッチに入ると、システムは【4-2-3-1】に移行。これに合わせて38歳は右サイドハーフに移動した。

 そして、反撃の合図となる同点ゴールが生まれた。

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