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メッシが見せた唯一無二である理由。“サイクルの終焉”を跳ね返したバルサとレアルの誤算

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

データも示すバルサの苦戦。しかし…

 ホームのマドリーは、バルセロナの中盤でボールの出し手となるイニエスタとラキティッチに対して、モドリッチとクロースがマークに付き、セルジ・ロベルトとジョルディ・アルバの両SBの裏を狙う戦略を立てた。

 これは、バルサ対策の常套手段といえるもので、この中盤の2人と両SBのプレー次第で驚異的な攻撃力は大きく変化する。最も良い時のバルサであれば、イニエスタは100回のボールタッチで100本のパスを数え、SBの2人は敵陣で80%近いプレー割合を記録し、イニエスタに次ぐ100本近くのパスを繰り出す。

 さらに、彼らが思い通りのプレーが出来ている展開では、CBからのロングボールが2桁を記録することも少なくない。データ上、こう言った数字が並ぶ試合では、スアレスやメッシが確実に複数の得点を決めている。

 しかし、今回のクラシコでは、イニエスタが79回のボールタッチでパスは69本。両SBの敵陣でのプレー割合は53.73%にとどまり、パス本数ではジョルディ・アルバが43本でセルジ・ロベルトが51本とベスト時の約半数となっていた。

 もちろん、マドリーも世界トップクラスの戦力を持つチームであり、そういった選手たちに全力で対策を打たれれば、そう簡単にプレーできるものではない。それでも、2年前のバルサであればビルドアップを変化させたり、選手の配置をいじることで相手の対策を無効化する力があった。

 そして、立ち上がりからペースをつかんだマドリーは28分にCKの流れからカゼミーロが先制点を決める。この試合はマドリーのものとなるかと思われたが、このカゼミーロに与えた指示がマドリーにとって誤算だった。

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