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メッシが見せた唯一無二である理由。“サイクルの終焉”を跳ね返したバルサとレアルの誤算

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

たった1つの誤算が生み出した明暗

メッシの突破に対するファウルトラブルに苦しめられたレアル・マドリー。セルヒオ・ラモスは退場に追いやられた
メッシの突破に対するファウルトラブルに苦しめられたレアル・マドリー。セルヒオ・ラモスは退場に追いやられた【写真:Getty Images】

 マドリーは、中盤を構成するクロースとモドリッチがバルサの中盤2人にマンマークで付いているため、アンカーの役割を担うカゼミーロはカバーリングとブスケツへの対応というやや中途半端な指示が与えられていたはず。

 しかし、対応が半端なため、ブスケツはボールタッチ90回、バス82本と、ある程度ボールを自由に持つことができたため、通常より数は少なくともイニエスタやメッシに良い形でボールを出すことができた。どれだけ厳しくマークを付けてもイニエスタにボールが渡りさえすれば、まず簡単に取られることはなく、チャンスを作り出すことが出来る。

 そして何より、メッシに良い流れでボールが渡れば、確実にゴールとなる。今年の6月には30歳となるメッシには、確かにかつての俊敏性やスピードはない。それでも、ポジションをトップ下に移したメッシには密集地帯でも簡単に抜け出す技術があり、ゴールを決める決定力がある。

 この試合でメッシが仕掛けた1対1は両チーム中トップの11回。そのうち7回で相手を抜き去りチャンスを生み出している。

 さらに、ラキティッチのゴールで2-1とした終盤には6度のファウルを誘発し、マドリーの要ともいえるセルヒオ・ラモスを退場に追いやる狡猾さも見せている。

 バルサを封じるためには、徹底的にメッシやスアレスにボールが出ないようにプレッシャーをかけなければならない。その中で前半にブスケツを自由にさせたことは、マドリーにとって失策といえるだろう。後半からは修正されたものの、すでに後手に回る展開となっていた。

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