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久保裕也、“覚醒の方程式”でヘントの大黒柱に。ゴールだけでない攻撃での貢献

ベルギー1部のヘントへ移籍したFW久保裕也は、加入直後から重要なゴールを決め続けている。それらは単なるゴールだけでない意味を持っていた。そして、久保の貢献が数字で目に見えないところまで及んでいることも明らかになってきた。23歳の日本代表FWは存在自体が“勝利の方程式”になりつつある。(取材・文:中田徹)

text by 中田徹 photo by Getty Images

久保裕也のゴールが持つ“ゴール以上の価値”

久保裕也
久保裕也はベルギーでゴールを量産。不振に喘いでいたヘントを上昇気流に乗せた【写真:Getty Images】

 2年前にベルギーリーグで優勝し、昨季はCLでベスト16に進出するという健闘を見せたヘントは、12月に公式戦で4連敗を喫するなど今季は不振に喘いでいた。「中心選手のGKセルス、MFクムス、FWデポワトレが去った穴を埋めることが出来ない。とりわけチームの“メトロノーム”としてリズムを作っていたクムスがいなくなったのが大きい」というのが、ベルギーでの大方の見方だった。

 ハイン・ファンハーゼブルック監督は主に3-4-2-1フォーメーションを好むが、4バックを採用したり、3トップを試みたり、試合ごとにシステムやメンバーを変えてくる指揮官だ。だが、中盤の底にセントラルMFを置くのはほとんど変えない。過去2シーズン、クムスは主にブラジル人のネトとコンビを組んで、相手のボールを奪ったら即座に前線にボールを送り、チームの攻撃にスイッチを入れていた。

 ファンハーゼブルック監督の最近のお気に入りはエシティだ。189cmという恵まれた体格を生かした守備は激しく強く、ボールを奪った後はしっかり味方につなげることも出来るようになってきた。しかし、縦につけるパスは少なく、横パスやバックパスが目立ち、攻撃の面では「クムスの代役」とは呼べない。

 それでも、最近のヘントのサッカーは決して悪くない。冬の移籍市場でGKカリニッチ、DFギゴ、FW久保裕也、カルーを補強したのが大当たりし、カルーを除く3人は全試合先発出場を続けている。

 カリニッチとギゴはトップコンディションでチームに加わり、2人ともヨーロッパリーグ(EL)4試合も含めてフル出場し続けているのだから頭が下がる。昨年11月に膝を痛めて実戦から遠ざかっていた久保は、逆に試合に出ながらコンディションを上げていく方法を採った。ここまで13試合出場で8ゴールという数字も素晴らしいが、そのゴールが全てチームの勝ち点に繋がっていることに何より価値がある。

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