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アジア 7年前

本当だった霜田氏招聘案。タイ代表新監督をめぐる混乱と日本人指導者擁立の理由

text by 長沢正博 photo by Getty Images

ライェヴァツ新監督の契約期間は1年 協会は新チームの何を評価していくか

ミロヴァン・ライェヴァツ
新たにタイ代表監督に就任したミロヴァン・ライェヴァツ氏【写真:Getty Images】

 チームの成績が振るわない状況下で、監督の交代というのは不自然なことではない。経験豊かな指揮官の下で新たな可能性を探ることも十分考えられる選択肢だ。ただ、一連の流れを見ていたものとしては、前監督の辞任劇には後味の悪さが残った。

 ともあれ、ライェヴァツ氏の契約期間は5月からの延長オプションありの1年となっている。初采配は、6月6日に行われるウズベキスタンとのアウェイでの強化試合となる。

 その他、1年以内に予定されている試合としてはUAE、イラク、オーストラリアとの対戦が待つアジア最終予選の残り3試合。また、7月にはタイで代表強化のためにキングスカップが開催される見通しだ。

 タイは既に2019年のAFCアジアカップ本戦出場権も得ている。協会は今後、国際Aマッチデーを中心に強化試合を組む方針というが、その他1年以内に大きな公式戦はない。

 タイサッカー協会のスポークスマンはメディアに「最初の目標はFIFAランキングを上げること」と話している。ただ、選手の入れ替わりも予想される中、協会は限られた時間と機会で新チームに何を求め、ライェヴァツ新監督は何を示すことが出来るのか。仮に短期間の成績を基に前監督辞任時のような一部感情に先走った議論が進んでしまうと、代表の強化に良い影響があるとは思えない。

 既に東南アジア圏内では頭一つ抜け出した感のあったタイも、最終予選でのアジアの強豪国との戦いでは、まだレベルの差を見せつけられた。タイは、この壁を超えることが出来るかの一つの正念場を迎えようとしている。

(文:長沢正博【バンコク】)

【了】

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