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ユーベ、当然とさえ思えるCL決勝進出。充実の陣容、際立つディバラの老獪さ【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

新鋭ムバッペのゴールで一矢報いたモナコ

モナコの新鋭ムバッペ。CL決勝トーナメントで躍動した
モナコの新鋭ムバッペ。CL決勝トーナメントで躍動した【写真:Getty Images】

 ユベントスは54分にディバラをクアドラードに代える余裕の采配。モナコは負傷から復帰したばかりのメンディを諦めてファビーニョを投入、実質的に2バックの4-4-2にして何とか一矢報いるべくファイティングポーズは崩していない。

 CKを短くつないだモナコは、一瞬の隙をついてモウチーニョがゴールライン際に侵入、GKとDFの間のごく狭いスペースへ入れた低いクロスに鋭く反応したムバッペがゴール、意地の1点を返した。

 ムバッペは「アンリ2世」と呼ばれる逸材だが、モナコでプレーしていた同じ年齢のアンリと比べると、ムバッペのほうが上だと思う。加速力とフィニッシュの両面でアンリを上回っている。

 しかし、モナコの反撃もここまで。ユベントスは合計4-1と危なげなく決勝へコマを進めた。

 1ゴール1アシストの活躍だったダニエウ・アウベスは、「バルセロナが自分を放出したのは間違い」と話していたようだが、むしろユベントスへ来たのが正解だったといえる。バルセロナ時代よりも生き生きとプレーしていて存在感を増している。

 今季のユベントスは強い。強豪揃いのCLだが、ファイナル進出は当然と感じるほど充実している。ほぼイタリア代表の守備陣、ハードワーカーとして新境地を拓いたマンジュキッチ、新しいエースとなったイグアイン、セットプレーの名手ピャニッチ……何よりディバラの存在は大きい。試合を的確に読み、個の判断で流れを一変させてしまったのは、若さに似合わぬ老獪さだった。

(文:西部謙司)

【了】

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