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“カタール断交問題”、サッカー界への余波。どうなるPSG? 2022年W杯開催は?

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

胸スポンサーのエミレーツ航空はUAE資本だが…

 デロイト社の調べでは、14-15シーズンのパリSGの収益は約4億8000万ユーロで、レアル・マドリー、FCバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッドに次いで欧州の4番手にのし上がった。

 そのうちのおよそ2億ユーロは、QTA(カタール・ツーリスト・オーソリティ)なる同国の観光振興部門からのスポンサーマネーによるものだ。またしても”Q”がつくことで察しがつくように、これもカタール国家の息がかかった機関だが、UEFAのファイナンシャルフェアプレーではオーナーがポケットマネーから資金を補填することを禁じているため、別の機関からの純粋なスポンサー料であるという体裁をとっている。

 パリの玄関シャルルドゴール空港には、PSGの選手たちがモデルとなったカタール観光誘致のポスターなども貼られて、それらしい活動も行われていることをアピールしている。

 また、2019-20シーズンからの始動を目指し、パリ郊外のポワシーにある74ヘクタールという広大な敷地に、ピッチ14面を備えた世界最先端レベルのトレーニング施設を現在建設中だが、3億ユーロにも上ると言われる総工費もカタール国家の懐から捻出されるものだ。

 よってカタールの経済状況は、PSGの運命を左右する重大事項。クラブ側は、国交断絶のニュースが流れた翌日、フランスのメディアに対し「外交・政治的な問題は、PSGとの長期的な提携についてはなんら問題を及ばさない」と発表。

 前述の胸ロゴスポンサーはボイコット国の一つであるUAEのエミレーツ航空だが、今のところ、2019年まで年間2500万ユーロ、という彼らとの契約が打ち切るになる可能性も低いという。だが提携を継続する気は変わらないとしても、それが現実的に可能かどうか、先々のことについては彼ら自身不透明なのではないかと思う。

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