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“カタール断交問題”、サッカー界への余波。どうなるPSG? 2022年W杯開催は?

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

BeINスポーツが支払っているリーグ1の放映権料

カタール系のBeINスポーツは今やフランスサッカー界に欠かせない存在となっている
カタール系のBeINスポーツは今やフランスサッカー界に欠かせない存在となっている【写真:Getty Images】

 カタールという巨大船が座礁したら困るのはパリSGだけではない。

 2011年にPSGを買収したカタール勢は、QIAの傘下にあるスポーツメディア、BeINスポーツをもフランスサッカー界に送り込んできた。これまでフランスのカナルプリュスが独占していたリーグ1の放映権に割って入り、“ジョイント放映”という形で放映権料をリーグに注いでいる。

 2014年に更新された2016-20シーズンの年間放映権料は史上最高額の約7億4850万ユーロ。その週の最注目マッチを放映する権利をゲットしたカナルプリュスが4分の3ほどを負担することになった。

 カナルプリュスから人気コメンテーターを引き抜いたり、いつでも解約可能のうえ月額契約料はカナルの3分の1以下といった柔軟なシステムを導入したりしてどんどんシェアを広げているBeINが、これまで放映権を独占してあぐらをかいていたカナルプリュスの本気心に火をつけた形だ。

 PSG、そしてBeINはいまやフランスのサッカー界に欠かせない存在となっているから、彼らが衰退すれば、少なからずリーグにも影響は及ぶ。

 サッカー界だけではない。カタールからフランスへの投資は、年間120億ユーロにも上るといわれている。2008年に当時の大統領ニコラ・サルコジがおもに不動産投資にまつわるカタールの関税に特例措置を設けたことでカタールマネーの流入は加速し、ペニンシュラやロイヤル・モンソーといった名だたるラグジュアリーホテルの多くがカタールの手に渡った。

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