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イングランド、育成改革が結実しU-20W杯制覇。次なる課題は“ブラックホール”問題

2017 FIFA U-20W杯を制したイングランド。ユース世代の大会とはいえ、1966年以来となる世界王者に輝いた。その要因にはイングランドサッカー協会(FA)が進めてきた育成改革がある。だがその成果が出ているいっぽうで、世界最高峰のリーグをもつ“母国”には大きな問題が残存している。(取材・文:山中忍【イングランド】)

text by 山中忍 photo by Getty Images

2014年のU-17欧州選手権優勝につづき…

U-20W杯を制したU-20イングランド代表
U-20W杯を制したU-20イングランド代表【写真:Getty Images】

 イングランドで6月に40年ぶりの猛暑を記録した今年の夏。眩しく熱い“ゴールデン・サマー”は母国代表も同様だった。同月末に閉幕したU-21欧州選手権では、A代表新監督のガレス・サウスゲートが昨年途中まで率いていたチームが準決勝に進出。

 ドイツにPK戦で敗れた結末は悪い意味で相変わらずだが、その前には必勝だったポーランド戦で格下を確実に叩き(3-0)、良い意味で「イングランドらしくない」勝ちっぷりを披露した。

 そして、そのU-21代表で活躍したデマレイ・グレイ(レスター)らが、「発奮材料になった」と認めていたU-20W杯でのイングランド優勝。6月11日の決勝でベネズエラを下した(1-0)“ヤング・ライオンズ”は、ユースレベルとはいえ、1966年W杯優勝以来となる世界王者の肩書きを母国にもたらした。

 グループステージではアルゼンチンから3点差の勝利。決勝トーナメントでもイタリアから3得点を奪って勝ち上がった姿は王者に相応しいものだった。

 優勝チームの中核は2014年にU-17欧州選手権を制した当時の主力。

 要所でセーブを披露したGKフレディ・ウッドマン(ニューカッスル)、攻撃面でも貢献したSBジョンジョー・ケニー(エバートン)、足下の技術を持つルイス・クック(ボーンマス)とジョシュ・オノマ(トッテナム)の両センターハーフ、4ゴールで大会得点王となったFWドミニク・ソランケ(リバプール)は、3年前の決勝でも同じ4-2-3-1システムで並ぶ先発イレブンに名を連ねていた。

 順調にユースの階段を昇ってきた彼らと、全7試合に先発したCBフィカヨ・トモリ(チェルシー)らユース世代の新顔が達成した今夏の優勝は、育成改革の成果が見えた点においても特別な意義を持つ。

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