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いわきFCが示した異質の「フィジカル」。7部相当のクラブ、固定観念に抗う挑戦

text by 藤江直人 photo by Football Channel

ボールを力強く前へ運ぶ推進力。気がつけば互角の展開に

 迎えた前半18分。縦パスをFW吉田知樹がフリックし、左側をフォローしていたFW平岡将豪がペナルティーエリア前へ抜け出す。しかし、左側からDF鎌田翔雅が猛然と間合いを詰めてくる。

「左側から相手が来ていることはわかっていたので。上手く体で押さえながら、自分で運べるのならばそのまま打ったし、最悪、前をふさがれたら横パスというふたつの選択肢をもっていたので」

 冷静に状況を見極められたのも、体をぶつけられてもバランスを崩さない自信があったからだ。鎌田に続いてDF角田誠も視界に入ったため、平岡は右側をフォローしてきたFW菊池将太へパスを通す。

 虚を突かれたのか。菊池へのマークは間に合わない。右足から放たれたシュートはしかし、ハリルジャパンにも選出された実績をもつGK六反勇治が横っ飛びしながら、必死に伸ばした右手に防がれる。

 しかし、いわきFCの攻撃はこれだけで終わらない。左タッチライン際を駆けあがっていた左ワイドの植田裕史が、さらにスピードアップ。猛然とこぼれ球に詰めるも、シュートは再び六反に弾き返された。

 9分後には再びいわきFCがチャンスをつかむ。左タッチライン際でこぼれ球を追った菊池と、186センチ、83キロのDFカヌが激しく体をぶつけ合う。軍配はひと回り小さな菊池にあがった。

 菊池をフォローして攻めあがってきたDF古山瑛翔のアーリークロスに、今度は右ワイド・金大生が相手ゴール前にまで駆けあがってヘディングを見舞う。シュートは惜しくも右ポストをかすめた。

 体をぶつけられても崩れない体幹の強さ。チャンスの匂いをかぎ取るや、「3-4-3」の布陣から誰かれなく飛び出していく走力。ボールを力強く前へ運ぶ推進力も融合され、気がつけば互角の展開となっている。

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