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マンU、覇権奪還へ、高額の“買い漁り”。2年目のモウ、ピンポイントの補強方針

昨シーズンはリーグカップとヨーロッパリーグを制し2冠を達成したマンチェスター・ユナイテッド。ここ数年は毎年のように一選手に対してリーグ最高額の移籍金を支払ってきたが、今夏もその姿勢は変わっていない。すべてはファーガソンの退任以来となるプレミアリーグ覇権奪還のため、クラブ上層部が動じる様子は全くない。(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

すべてはファーガソンが退任して以来となる覇権奪還のため

マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督
マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督【写真:Getty Images】

 7月もすでに第3週目。プレミアリーグのシーズン開幕まですでに1ヶ月を切り、移籍市場も活発になっている。そして今夏もその中心的な存在が、マンチェスター・ユナイテッドだ。

 2014年夏にアンヘル・ディ・マリアを6000万ポンドで獲得して以来、ユナイテッドはほぼ毎年のように、一選手に対して支払う移籍金でリーグ最高額を記録してきた。

 15年は地元のライバル、マンチェスター・シティがケビン・デブルイネ獲得に費やした額が上回ったものの、それに続く5500万ポンドを支払ってモナコからアントニー・マルシアルを強奪した。

 そして、昨夏にポール・ポグバ獲得の際に費やした8900万ポンドに続いて、今夏も7500万ポンドの大金を叩いてロメル・ルカクを獲得。ここまでのリーグ最高額を記録している。

 こういった高額の“買い漁り”により、イングランド、さらに欧州フットボール界にインフレを引き起こしていると批判する声も聞かれる。しかしすべては、13年にサー・アレックス・ファーガソンがクラブを離れて以来遠ざかっている、プレミアリーグの覇権奪還のため。盟主復活に向けて、クラブ上層部が動じる様子はまるで感じられない。

 昨季のヨーロッパリーグとリーグカップの2冠を達成したジョゼ・モウリーニョ監督の下、チームの改革は確実に進んでいる。まず先月10日には、ベンフィカからビクトル・リンデロフを3100万ポンドで獲得し、バックラインの補強に成功した。

 昨季のユナイテッドの総失点数は29。リーグ2位の最少失点だった一方で、選手の怪我や不調もあり、シーズンを通してセンターバックの絶対的なパートナーシップを構築できなかった。

 エリック・バイリー、クリス・スモーリング、ダレイ・ブリント、マルコス・ロホ、フィル・ジョーンズといったディフェンダーに加えて、マイケル・キャリックがこのポジションで使われるなど、安定しなかった印象は否めない。

 何より、守備を基盤にチーム作りをするモウリーニョ率いる集団にとって欠かせない、力強さが欠落した。

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