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Jリーグ 7年前

城後寿が愛される理由。3度のJ2降格もアビスパ一筋13年…背番号10に流れる青き血

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

「今までと何も変えたつもりもないですし、変わったつもりもない」(城後)

アビスパ
アビスパ福岡の本拠地レベルファイブスタジアムスタジアムには至るところに城後寿の横断幕やフラッグが掲げられていた【写真:舩木渉】

 この1点で千葉に逆転勝利したアビスパは、勝ち点でも千葉を上回ってJ1昇格圏内の3位に浮上。第10節終了時点で14位だったが徐々に盛り返し、第16節で4位まで順位を上げると、この千葉戦で3位を確保し、そのままの勢いで2試合を残した時点でJ1昇格を確定させた。

 千葉はアビスパに敗れたことで失速し、最後まで盛り返せないまま4位フィニッシュ。まさに城後のゴールがすべての流れを変えた。前年に負った左膝前十字靱帯損傷からの完全復活を印象づけた雷の中での逆転ゴールは、伝説の1点としてアビスパのファンの心に刻まれ、「イナズマ城後」として語り継がれているという。

 他にも今季のJ2第19節、名古屋グランパス戦で決めた逆転ゴールも多くのファンの心を揺さぶっていた。途中出場から4分後に決めた勝利を手繰り寄せる1点は、まさに城後の生き様を示したゴールだった。

 しかし、今季は出場機会の確保に苦しんでいるのも事実。リーグ戦のスタメン出場は第23節終了時点で1試合しかなく、ベンチに入れないこともある。アビスパ入団以降、もっとも苦しい時を過ごしていると言っていいだろう。

 ただ城後自身、現状をネガティヴに捉えているわけではない。

「今までと何も変えたつもりもないですし、変わったつもりもない。ただこれを続けていって、その中で結果を残せば必ずチャンスはくると思う。スタメンじゃなくても途中から出てもやるべきことはたくさんあるし、その中で何かインパクトの残るプレーをすればスタメンも見えてくると思う。今はやるべきことをしっかりやって、またチャンスをもらった時に、そのチャンスをしっかり生かせればなと思います」

 アビスパで数々の苦難を乗り越えてきた“キング”に焦りはない。

「僕だけじゃなくて能力があって出られない選手もいっぱいいますし、その中でいい競争が生まれているからこそ、もしかしたらこういう位置(取材時点で首位)にいると思う。先発で出ない選手もしっかりトレーニングの中から出ている選手にプレッシャーをかけられるように、今はやれているので、これからも続けていきたいと思います」

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