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イングランドに残るフットボールの原風景。利益求めず…8部クラブが目指す真の地域密着

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

ルイスFCの理想の姿とは。サッカーを楽しむこと、それが全て

ルイスFc
試合が行われているスタジアムにはのどかな雰囲気が漂う。これこそがイングランド・フットボールの原風景と言えるのかもしれない【写真:ショーン・キャロル】

 U-5の少年・少女チームをスタートとして構成されるユース組織の選手たちを引き上げることで、ルイスFCはチームと地域の結びつきをさらに強めようとしている。フリーマン監督によれば選手たちは、勝とうとも負けようとも、試合後にはバーでサポーターと交流しているそうだ。自身もかつてFWとしてプレーしていた指揮官は、真のコミュニティ文化を築き上げるため、こういったオープンさが欠かせないと考えている。

「ファンがコンピューターの後ろに隠れながら批判してくるのではなく、こちらにきて話かけてくるのであれば、私はいつもオープンに接している」とフリーマン監督は語る。

「試合のたびにここに来て彼らに伝えるのは、何か不満があるなら私のところへ話をしに来てくれということだ。話をせずに済ますことは決してない。だが基本的に、このクラブのファンは素晴らしい。ここに来て指揮を執りたいとずっと望んでいたので、私にとっては名誉であり特別なことだ。我々はルイスFCを、このクラブがいるべき正しい場所へ導くことができると心から感じている」

 ミラー氏には、その場所がどこであるかについての明確な考えがある。クラブが存在を継続するためにはピッチ内外での成長が欠かせないとしても、ルイスFCはその友好的で非排他的な雰囲気を犠牲にしてまで、伝統的な意味での成功を追い求めようとはしていない。

「長期的にはイングランドの6部であるナショナル・リーグ・サウスで中位にとどまり、1500人から1800人ほどの観客を集め、時にはプレーオフ出場を争ったり、カップ戦で勝ち進んだりすることができれば、男子チームにとっては完璧であり持続可能なことです」とミラー氏は語る。

「そうなれば確かな収入を得て、まずまずの選手たちを引きつけることができます。それが程良いレベルであり、程良く観客も集まって、我々にとってはまさに完璧なことです。そこに到達するまで、あとわずか2年ほどだと思います」

 お隣ではブライトンが、プレミアリーグの夢を見続けるためにあらゆる手を尽くし、出費も行うことになるだろう。だがルイスFCとそのファンにとっては単純にサッカー自体や、サッカーの喜びと楽しみこそが、モチベーションとして必要なものの全てだ。

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(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

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