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万全のレアル、バルサ相手でも余裕に。度が過ぎた“メッシ依存”、噴出した弊害【西部の戦術アナライズ】

16日、スーペルコパ・デ・エスパーニャ(スペイン・スーパー杯)第2戦が行われ、第1戦に引き続きレアル・マドリーがバルセロナに2-0で勝利(2戦合計5-1)。メンバーを替えながら充実の戦いを見せた白い巨人に対し、バルサはネイマール流出の影響もあり早急な修正が必要という現状を露呈することになった。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

余裕のレアル。3-5-2のバルサ相手に前半で勝負決める

バルセロナのリオネル・メッシ(左)とレアル・マドリーのマテオ・コバチッチ(右)
バルセロナのリオネル・メッシ(左)とレアル・マドリーのマテオ・コバチッチ(右)【写真:Getty Images】

 カンプ・ノウで3-1と勝利していたレアル・マドリーは、ホームの第2戦も2-0と危なげなくバルセロナを下した。

 第1戦で活躍したイスコを温存、カゼミーロもベンチスタート。ピボーテには第1戦でメッシをマークしてよく抑えていたコバチッチが起用された。第1戦の退場がらみで5試合の出場停止が発表されたロナウドのいない前線には、ルーカス・バスケス、ベンゼマ、アセンシオの3人が並ぶ。リーグ開幕を控えてのターンオーバーである。

 一方、後がないバルセロナはあまり使ったことのない3-5-2、メッシとスアレスの2トップである。バルサといえば4-3-3か3-4-3が定番だが、実はグアルディオラ監督時代にも3-5-2は使っている。ネイマールが抜け、噂されている穴埋めのデンベレ、コウチーニョの移籍も決まっていない現状では3人目のFWがいなかった。

 4分にレアルのアセンシオがあっさり先制し、レアルは2試合合計4-1とした。距離のあるミドルシュートだったが無回転の落ちる軌道の見事なシュートだった。

 10分をすぎてからようやくバルサがパスを回して押し込みはじめる。両ウイングバックのジョルディ・アルバとセルジ・ロベルトが高い位置で幅を作り、メッシはスアレスとMF陣の間でパスを受けて攻撃を仕掛けていく。ところが、メッシ以外に仕掛けられる選手が誰もいない。イニエスタは欠場、アンドレ・ゴメスとラキティッチがインテリオールとしてプレーしたが創造性のあるプレーは皆無だった。

 38分、レアルは波状攻撃の末にマルセロが左サイドを破って低いクロス、ウンティティの背後に隠れていたベンゼマはまるでウンティティへのパスをインターセプトするようにマルセロのクロスを受け、至近距離から決めて2-0とリードを広げた。

 ウンティティの背後に回って視界から消えたベンゼマ、それを見てマルセロは誰もいない場所へ蹴っている。ベンゼマはウンティティには捕まらない。だからベンゼマへ合わせるのではなく、ウンティティがカットしにくい場所を狙えばベンゼマが受けられる。2人の意図が通じ合ったゴールだった。

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