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代表 7年前

オーストラリア、W杯予選プレーオフ行きの必然。日豪戦の無策、タイ戦の油断が招いた停滞

text by 植松久隆 photo by Getty Images

必勝のタイ戦。シュート45本、パス成功率88%でも…

 タイ戦のサッカルーズ(オーストラリア代表の愛称)の先発メンバーは、とにかく「点を取りにいく」という明確なコンセプトが表れた人選だった。先の日豪戦では当日の体調不良でまさかの欠場となったアーロン・ムーイ(ハッダーズフィールド)が満を持して登場。ボランチの一角をマーク・ミリガン(メルボルン・ビクトリー)と共に担った。

 ミリガンが中盤に復帰したことで、3バックはトレント・セインスベリー(江蘇蘇寧)を真ん中に、左右にミロシュ・デゲネク(横浜FM)、ベイリー・ライト(ブリストル・シティ)を据える。長身DFでサイズに劣るタイの攻撃陣を制圧しにかかった。

 攻撃陣に目を移すと、1点でも多く欲しいということで、よりアグレッシブな顔ぶれが並んだのは当然のこと。サイドハーフは右にマシュー・レッキー(ヘルタ・ベルリン)、左にはアレックス・ガースバック(ローゼンボリ)と、多少背後のスペースを犠牲にしてでも、前への推進力を重視した起用。

 2シャドーにはトム・ロギッチ(セルティック)とティム・ケーヒル(メルボルン・シティ)、1トップにはこちらも日豪戦で先発できなかったトミ・ユリッチ(ルツェルン)が並び、とにかく「ゴールに近づく」というコンセプトがこれでもかと体現される布陣だった。

 しかし、一言で表現すれば「もどかしい」試合だった。90分間を通じてのポセッション率では、豪州が75.7%と圧倒。さらに豪州は695本とタイの3倍の数のパスを、実に88.2%という高い成功率で繋いだ。完全にゲームを支配していたのはデータの上でも明らかだ。

 この試合で豪州は、タイの8本の5倍以上となる45本のシュートを放った。ゲームを観ずに、これらのスタッツだけを見せられれば、ほとんどの人が豪州のワンサイドゲームと圧勝をイメージするだろう。ところが実際の試合はスコア上は2-1。結果的にホームで勝ち点3を積み上げることはできたが、とても快勝と呼べない出来に終わった。

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