フットボールチャンネル

シティを褒めるしかない敗戦。コンテ・チェルシー2年目は、一進一退の歩みに

text by 山中忍 photo by Getty Images

補強には不満も、割り切って仕事を進めるコンテ

マンチェスター・シティ戦で負傷交代となったアルバロ・モラタだが、離脱は短期で済みそうだ
マンチェスター・シティ戦で負傷交代となったアルバロ・モラタだが、離脱は短期で済みそうだ【写真:Getty Images】

 問題視された前半の選手交代にしても、モラタの負傷退場でカウンターで敵を仕留める確率が下がる中、失点を嫌うイタリア人監督でもあるコンテが、“ゼロトップ”で残る55分間の失点リスク軽減を意識しても無理はない。

 ベンチに控えるFWが、昨夏の獲得が自らの希望ではなく、今季も交代出場が主なバチュアイ以上の駒であればモラタの代わりに投入されたとは思われる。だが、理想には固執しない指揮官がハードワークの効くウィリアンの投入を選んだように、無い物ねだりをしても意味はない。

 鋭い戦術眼に現実的感覚をも持ち合わせるコンテは、フロント主導の補強に不満を隠せなかった今夏にも、最終的には「持ち駒の能力を伸ばし、最大限に引き出すことが自分の仕事」と発言して割り切り、退場者2名を出してバーンリーに敗れた最悪の今季黒星スタートによる脱線を未然に防ぎながら、今季チェルシーに対する周囲の評価をジリジリと上げさせてきた。

 現時点では、圧巻のシティが優勝の最右翼。僅差の有力候補は、やはり監督も納得の補強を経て、開幕から無敗のまま得失点差で追うジョゼ・モウリーニョ2年目のマンチェスター・ユナイテッドという見方が妥当だが、チェルシーも優勝候補であることに変わりはない。

 モラタが痛めたハムストリングも、シティ戦で無理を続けなかったことが幸いして次節前にも回復が見込まれる。

 その次節は、代表ウィーク明けの10月14日に行われるクリスタルパレス戦。7節ではユナイテッド、6節にはシティに、それぞれ4失点と5失点で大敗し、開幕からの敗戦と無得点が7試合連続に伸びた精神面もどん底の最下位だ。

 その格下をマンチェスターの両ライバルと同様に容赦なく叩くことから、今季優勝争いにおけるチェルシーの立ち位置確認が再び始まる。

(文:山中忍)

【了】

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top