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シティを褒めるしかない敗戦。コンテ・チェルシー2年目は、一進一退の歩みに

text by 山中忍 photo by Getty Images

シティ戦黒星は采配ミスだったのか?

 だが9月30日のスタンフォード・ブリッジでは、最終スコア(0-1)以上の完敗で今季2敗目を喫した。テレビ解説を務めたフランク・ランパードによる、「ピッチ上での風格、プレースタイル、機能性の全ての面で劣っていた」とのチェルシー評は否定し難い。シティが、ケビン・デ・ブライネが決めた極上のミドルに、2点目、3点目を上乗せして勝っていても不思議ではない内容だった。

『BTスポーツ』の解説スタジオでランパードとコンビを組むスティーブン・ジェラードは、「慎重すぎたし、選手交代も誤った」としてチェルシー指揮官への厳しい評価を口にしてもいる。この日のコンテ采配に対する疑問は、巷でもメディアでも聞かれた。とはいえ、「采配ミス」とまで言うのは如何なものか?

 事実上の5-3-1-1で後方に意識を割く戦術ではあった。守備的な姿勢が、マドリードで得たはずの勢いを削ぐ格好になったとする意見には頷ける部分もある。

 だが、シーズン序盤戦での強豪対決で慎重を期したコンテの判断も理解はできる。対戦3日前のタフなアトレティコ戦から2名しか先発メンバーを変えなかったチェルシーに対し、選手層で勝るシティはCLでシャフタールを下した(2-0)ホームゲームから中三日と、コンディション面でも若干有利な状況でもあった。

 国内では出場停止中だったダビド・ルイス以外のメンバー変更は、前週の6節ストーク戦(4-0)でもフルタイムをこなしていたビクター・モーゼス。代わりに右サイドで3バックの一員からウィングバックに回ったセサル・アスピリクエタは、対峙したレロイ・サネの驚異を抑えつつ、前後半に1度ずつ相手GKのセーブを呼ぶなど及第点以上の働きを見せた。

 前節は1時間程度でベンチに下がった左ウィングバックのマルコス・アロンソは、ダビド・シルバのシュートに身を投げてゴールを防ぎ、3バックの一角で先発したアントニオ・リュディガーも、ゴールライン上でガブリエル・ジェズスのシュートをクリアしていたように、チェルシーは個人としても組織としても、シティ戦で主眼を置いた守備に最善を尽くしたと言える。

 にもかかわらずの敗戦は、昨季の対決ではチェルシーに2戦2勝をもたらしたカウンター狙いの戦術を苦にしなかった、ペップ・グアルディオラ2年目のシティを褒めるしかない。

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