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シティを褒めるしかない敗戦。コンテ・チェルシー2年目は、一進一退の歩みに

9月30日、イングランド・プレミアリーグ第7節マンチェスター・シティ戦に臨んだチェルシー。直前のCLアトレティコ戦では劇的なアディショナルタイム弾で勝利を収めていたが、プレミアで首位を走るシティとの一戦では黒星を喫した。欧州の舞台に返り咲いたコンテ体制2年目は、今のところ一進一退の歩みとなっている。(文:山中忍)

text by 山中忍 photo by Getty Images

アトレティコ戦勝利で評価を高めたはずだったが

チェルシー2年目を迎えているアントニオ・コンテ監督
チェルシー2年目を迎えているアントニオ・コンテ監督【写真:Getty Images】

 9月最終週に国内外でビッグゲームが続いたチェルシー。監督のアントニオ・コンテは、アトレティコ・マドリーとマンチェスター・シティとの連戦を前に、「我われの立ち位置を確かめることができる」と語っていた。

 2試合の結果は1勝1引分け。プレミアリーグでは連覇を目指し、復帰したCLでも行ける所まで行く覚悟のコンテ体制2年目だが、今季優勝候補としての立ち位置も一進一退といったところだ。

 マドリードでのCL戦の一夜、敵地でアトレティコに勝利(2-1)した時点では、俄然評価を高めたはずだった。

 開幕当初のチェルシーは、選手層の強化不足が不安視されていた。獲得が実現したコンテの第一希望ターゲットは、新ボランチのティエムエ・バカヨコのみと思われた。

 しかし、3バックの採用を含めて昨季プレミア優勝の一番の立役者となった指揮官は、2年連続で補強が思い通りに進まなかったチームに昨季以上の競争力を与えていると理解されたのだ。

『タイムズ紙』のレポートで、「CLでは自己ベスト級の高水準」と称えられた勝利はコンテ采配の勝利だった。PKでリードは許したが、内容的には敵将のディエゴ・シメオネがシステム変更を必要とする展開を強いた。

 基本の3-4-3システムを3-5-1-1に微調整したチームは、攻守にバランス良く機能。特に、アルバロ・モラタとエデン・アザールの縦の2トップは出色の出来だった。

 新CFのモラタは移籍後の7試合で7得点目となる同点ゴール。知的で効果的な動きや空陸両用の決定力に、コンテが昨夏に獲得を切望した理由を垣間見せるようになっている。

 アシストをこなしたアザールは、手術を要した今夏の足首負傷から十分な回復期間を与えられ、今季先発2戦目にして圧巻のパフォフォーマンスを披露。好みのトップ下で攻撃の自由を謳歌したチェルシーの10番は、試合後に中二日でプレミアでの大一番に臨む自信を訊かれると、「ベリー・ベリー・コンフィデント」と即答してもいた。

 加えて、後半アディショナルタイムにFKから軽快にパスが繋がれた攻撃を逆転ゴールで締め括ったのは、フルタイム数分前に投入されていたミシー・バチュアイ。ホームにマンチェスター・シティを迎えるチームのムードは、今季開幕以来最高潮と見受けられた。

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