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ペップ・シティの衝撃。ナポリを空転させたボール回し、攻撃の手がかり奪う即時のプレス

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ナポリが攻撃に転じようとすれば逆にシティのプレスが

ナポリのエリセド・ヒサイ(左)とボールを争うマンチェスター・シティのダビド・シルバ(右)
ナポリのエリセド・ヒサイ(左)とボールを争うマンチェスター・シティのダビド・シルバ(右)【写真:Getty Images】

 こうしてプレスを回避したマンチェスター・Cは、サイドからナポリの攻略に掛かった。左のレロイ・サネに右のラヒーム・スターリングと、ただでさえ俊足のウイングに早いタイミングでパスが出てくるものだから、ナポリの守備陣は対処できない。なんとかカバーに回っても、スピードで引きちぎられるシーンも多発した。

 そうしてDFラインが押し下げられたところに、2列目から飛び出してくるインサイドMFがダビド・シルバやケビン・デ・ブルイネといった面々だから始末が悪い。パス交換の技術に長けると共に、それぞれがウイングでもやれるくらい速くボールを運べる。ピッチの大外で運んだボールを、ナポリ守備陣のギャップに飛び出した彼らが受ける。カバーが入っても簡単に外され、ボールはピッチの中央へ。

 こうしてサイドを崩され、折り返された時には中盤の戻りも間に合わない。ぼっかりと間延びしたゴール前には、先にマンチェスター・Cの選手がつめている。9分、ダビド・シルバの折り返しからスターリングに決められた先制ゴールはその典型で、その他もほとんどがそんなパターンで崩されていた。

 一方でナポリが攻撃に転じようとした時には、逆にプレスを掛けられカウンターを遅らされてしまう。サネもスターリングも戻りは早く、ダビド・シルバやデ・ブルイネもアンカーのフェルナンジーニョと同じ位置まで即座に下がって防壁を作る。

 このような時、ポゼッションを主体するナポリは攻撃の手がかりを失う。ロレンツォ・インシーニエが下がってボールを受けた時には、パスコースが全て塞がれている。ホセ・マリア・カジェホンに裏を走らせようとしても中盤にはプレスが掛かり、CFのドリース・メルテンスは常に相手CB2枚に挟まれている状態だ。そして何よりナポリのMF陣は、マンチェスター・Cのタフなプレスの前にミスを繰り返した。

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