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“ベトナムのCロナ”にJリーグ移籍の噂。国内屈指のスターは“タイのメッシ”に続けるか?

text by 宇佐美淳 photo by Getty Images

クラブは残留に全力を注ぐも…。本人はJリーグ行きを希望か

 過去には、年代別代表にも選出されてきたが、こちらでは、後半から投入されるジョーカーの役割が多かったため、数字上ではさしたる成績を残していない。また、この数年はオーバーウェイト気味で90分通して高いパフォーマンスを維持できないという欠点があり、このところはA代表からも遠ざかっている。

 因みに、かつてベトナム代表を率いていた三浦俊也監督は、チャン・フィー・ソンのテクニックについて高く評価しながらも、「太りすぎ」と痛烈なダメ出しをしたことがある。

 しかし、今年は課題だったダイエットに成功。本人によると、5キロ落としたというが、その甲斐あって、かつての躍動感ある動きが戻ってきた。チームは相変わらず不振にあえいでいるが、攻撃陣の中で1人気を吐き、ゴールとアシストを量産中だ。

 SLNAは現在、今シーズン終了後に契約満了を迎えるチャン・フィー・ソンの残留交渉を本格化させており、1年20億ドン(約1000万円)の3年契約、計60億ドン(約3000万円、※賞与含まず)というベトナム人選手としては、クラブ史上最高の条件を提示。しかし、かねてからJリーグ行きを希望しているという同選手は、サインを保留している。

 一部報道によると、同選手はJリーグの2クラブから練習参加に招待されており、シーズン終了後に日本に渡るのではないかとの噂されている。チャナティップが札幌で成功したことにより、タイ人選手のJリーグ進出加速が予想される中、ベトナムの秘密兵器もこの流れに乗ってJリーグ挑戦を表明するのだろうか…。

 取材の中でチャン・フィー・ソンは、日本行きについて否定も肯定もしなかったが、SLNAを退団することは、多くのメディアが確実視しており、移籍先はJクラブ、もしくはSLNAのOBであるレ・コン・ビンが今季から会長を務めるホーチミン・シティになるとみられる。

 優秀な下部組織を持つSLNAからは、毎年のように代表クラスの選手が他クラブに引き抜かれており、一番人気のチャン・フィー・ソンまでいなくなるとすれば、サポーターの落胆はかなり大きいだろう。

(取材・文:宇佐美淳【ベトナム】)

【了】

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