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日本代表 6年前

【識者の眼】ハリルJが痛感した世界との差。W杯まで残り半年、オプション発掘が躍進のカギに

text by 河治良幸 photo by Getty Images

現状はオプション不足が顕著。残り半年で予想外の大抜てきも?

 試合後、長友佑都が「すごい前の選手たちが頑張っている中で、ただ1つ気を許すとやられてしまうんですよね、このレベルだと。だから、いかに95分、アディショナルタイムが終わるまで集中を切らさないか」と強調していたが、そうした問題は得てして交代カードを切った後に出やすい。久保も相手の危険なところは共有していたはずだが、先発の浅野より点を取るという方に比重が向いていたし、監督の指示もより攻撃で効果を出すためのものであったかもしれない。

 ただ、こうしたシチュエーションをこの段階でチームとして経験できたことで、本大会で似た状況になった場合に勝ち点なども考えながら、監督がどういう交代カードの切り方をするのか、そこで攻守のバランスや集中力といったものをチーム全体にどう共有して良い方に導くかをイメージしやすくなったはずだ。

 最終的には約3週間の合宿から大会に入っていくので、スタートの準備だけでなく、終盤の勝っているとき、負けている時、同点から勝ち点3が欲しい時、勝ち点1を確実に獲りたい時など、状況に応じた想定をしやすくなる。

 そうした勝負のカードや戦術的なオプションを考えた場合、現状は引き出しが少なすぎるという問題がある。そうしたことからハリルホジッチ監督の手腕への疑問や不安も出ているが、そうしたオプションはアルジェリア代表でも予選後から本大会への半年あまりで構築しており、リヤド・マフレズのようなそれまでのチームになかった武器を持つ選手のチームへの組み込みもこの期間に行っている。

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