必然だったイングランド育成年代の躍進。積極的なインフラ整備、覇権奪回へのシナリオ

2017年はイングランドのユース年代が世界の舞台で輝いた。U-17、U-19、U-20と各年代の代表が欧州や世界を制し、国際大会で大きな存在感を発揮したのである。自国開催だった1966年のW杯以来、頂点から遠ざかっているイングランドが、A代表の明るい未来を予感させるまでになった要因とは何だったのだろうか。(取材・文:松澤浩三【イングランド】)

2017年11月20日(Mon)11時52分配信

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo Getty Images
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イングランド・ユース代表が国際大会で躍動した2017年

U-20イングランド代表
イングランドはU-20W杯を制覇。他にU-17、U-19の代表も国際大会で躍動した【写真:Getty Images】

 2017年もあと6週間を残すのみになったが、振り返れば、今年はイングランドのユース世代が躍動した1年だった。

 スペインとのファイナルにPK戦で敗れて準優勝した5月のU-17 EUROから始まり、6月にはU-20代表がW杯で優勝。また同時期に行われ、18歳以下のチームで臨んだトゥーロン国際大会でも連覇を達成した。

 その後のU-21 EUROでは再びPK戦で涙を呑んで4強止まりも、7月にはU-19 EUROを制覇し、さらに先月にはU-17W杯でも戴冠。決勝では0-2と追いかける展開から、最終的には5-2で圧倒して5月のEUROで敗れたスペインにリベンジを果たした。

 トゥーロン国際大会を除いた“正真正銘”のグローバルな大会でイングランド代表が優勝したのは1966年W杯以来である。ただ過去数年間、ユース世代は着実に力をつけてきていた。上記のとおりPK戦での負けはあるものの、90分間以内と限定すれば直近の34試合で負け知らずだ。それだけに今年の躍進は偶然ではなく必然といっていいだろう。

 そんなイングランドの育成改革が始まったのは1990年代終盤のこと。背景には、長らく国際舞台で力を発揮しきれないイングランド代表を尻目に、華々しい戦績を残す欧州のライバルたちの影響があった。

 フランス代表は自国で開催した1998年W杯を制すると2000年のEUROでも優勝した。2008年にEUROを勝ち取るまでは無冠の帝王と呼ばれた(実際には1964年に同大会を制しているが)スペインも、今では常にビッグトーナメントの優勝候補になる存在となった。2000代初頭は低迷したドイツ代表もその後見事な復活を果たし、前回の2014年W杯で4度目の優勝を達成している。

 これらの国々はユース世代の育成戦略に力を入れて、長期的なプランとともに選手を育て上げてきた。その成果がフランスならティエリ・アンリやニコラス・アネルカ、スペインならアンドレス・イニエスタやダビド・シルバであり、ドイツであればトーマス・ミュラーやメスト・エジルだった。そしてそれが、最終的に各国のW杯やEURO制覇という形で実を結んだのである。

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