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香川真司 6年前

香川真司が振るった攻撃のタクト。ドルト、“新布陣”で “DNA”復活の兆し

text by 本田千尋 photo by Getty Images

レアル相手の一戦で2点ビハインドから一時は同点に

 27分には、プリシッチからのパスを、エリアの中で受けてシュートを打つなど、「最高のトライをしたい」と語っていたとおり、背番号23は積極的に得点も狙いに行った。

 再びレアルの時間帯を凌ぐと、43分には、ボールを奪取して左サイドを上がったマルセル・シュメルツァーの鋭いクロスを、オーバメヤンがダイビングヘッドで押し込む。1点を返した。

 さらに後半に入って48分、ヌリ・シャヒンの縦パスを、香川が右足ヒールでエリア内にのオーバメヤンに送る。エースFWのシュートは1度はGKに防がれるが、転がってきたボールをチップキックで冷静に決めて、同点に追いつく。ベルナベウで意地を見せた。

 するとドルトムントは、“失われつつあったDNA”をピッチの上に示していく。プレッシング、ゲーゲンプレッシングによって、試合のリズムを生んで行った。布陣は[4-3-3]から[3-4-3]に変わったが、守備時には[5-4-1]でしっかりとしたブロックを築くことで、連動したプレスが復活し、さらにはボールロスト時の守備意識が高まったようだ。

 81分にルーカス・バスケスにミドルシュートをねじ込まれたため、ドローで終えることはできなかったが、サンティアゴ・ベルナベウでBVBは、自分たちのサッカーをまた少し改善することができたようだ。

 調子が良くないとは言え、レアルに2点のリードを許しながらも、一旦は追い付いたことは、評価されて然るべきだろう。

 グループHを3位で終えたドルトムントは、ヨーロッパリーグの決勝ラウンドに回ることになった。“新布陣”の中での、“DNA”の復活―――先に繋がる何かを掴むことができた、レアル戦だった。

(文:本田千尋)

【了】

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