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バルサのクラシコ快勝、影の立役者・パウリーニョ。懐疑論覆した“異端”の恐るべき嗅覚

text by 舩木渉 photo by Getty Images

勝敗を決定づけたバルサの2点目

 前半、バルサが作ったチャンスは片手で数えても指が余るほど。一方でマンツーマンディフェンスで相手の強みを消したマドリーは立てて続けにチャンスを作った。C・ロナウドの空振りや、ベンゼマのヘディングシュートのポスト直撃、バルサの守護神マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンの好守がなければ複数のゴールが生まれていてもおかしくなかった。

 リズムが変わり始めたのは後半開始直後だった。前半に比べてマークの強度が落ちたマドリーの隙を、バルサは見逃さない。それまでらしくないミスが多く、機転になりきれれいなかったブスケッツが、独特の間合いと懐の深さを生かしたターンで前を向くと、ラキティッチに20mほどの縦パスを通す。

 そこから一気にマドリーのマンツーマンディフェンスにズレが生じ、直線一気のカウンターでゴール前へ。最後はラキティッチと並走して駆け上がってきた右サイドバックのセルジ・ロベルトが丁寧なラストパスを通し、ルイス・スアレスがゴールを陥れた。54分、流れの悪かったバルサが先制に成功する。マドリーの中盤で守備的なタスクを淡々とこなしていたコバチッチも、この時ばかりは簡単に置き去りにされてしまった。

 前半はからっきしだったバルサの中盤は、このゴールで活性化された。その恩恵を最も受けたのはパウリーニョだったかもしれない。それまで鳴りを潜めていたブラジル人MFは、後半から自身の持ち味を遺憾なく発揮する。それが64分のリオネル・メッシのPKにつながる。

 欧州から見れば辺境の中国から獲得されたこと、それまで技術面で特筆すべきプレーを見せていないタイプだったこと、直線的なプレースタイルなどから、加入当初は懐疑論が渦巻いていたパウリーニョは、ものの見事にその悪評を跳ね返した。

 クラシコも含め16試合に出場して、すでに6得点を挙げている。これは15得点のメッシ、10得点のL・スアレスに次ぐ数字で、中盤の選手としては特筆すべき成績だ。何よりもこの得点力の高さがパウリーニョの武器で、対戦相手が恐れおののく所以なのである。

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