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「まさか自分が…」。佐賀東DF都渡倭、マルセロ意識し選手権開幕戦で鮮烈ミドル弾

text by 編集部 photo by Getty Images

佐賀東
佐賀県代表の佐賀東が全国高校選手権の1回戦を突破した(※写真はイメージ)【写真:Getty Images】

 第96回全国高校サッカー選手権大会が30日に開幕し、オープニングゲームでは佐賀県代表の佐賀東が東京都B代表の関東第一を2-0で下した。

 前半は関東第一に押されていた佐賀東だが、後半に入って46分に中里知己の先制ゴールが生まれると主導権を握り返し、64分の追加点で勝利を手繰り寄せた。

 2点目のゴールを挙げた佐賀東のDF都渡倭は「最高ですね、本当に。まさか自分が決めるとは思わなかったです」と喜びを語った。

 コーナーキックの場面、一度は相手に弾かれたボールに詰めた都渡は、自ら競った際のこぼれ球に素早く反応して迷いなく左足を振り抜いた。「1回バウンドして、ショートバウンドみたいな形でコースにしっかり打とうと」冷静な判断が結果的に勝利を大きく引き寄せる1点に変わった。

 佐賀東で赤崎秀平(現G大阪、来季から川崎Fへ移籍)や中野嘉大(現仙台)らを育てた蒲原晶昭監督も「(都渡の)あんなシュートは見たことがない」と驚く一発。決めた本人は「特に選手権では、思い切ったシュートが入ることが多いと(蒲原監督に)言われていたので、思い切ってシュートを打ったら入った感じです」と謙遜する。

 だが、都渡には試合前からゴールの予感があったようだ。レアル・マドリーに所属するブラジル代表DFマルセロを憧れと語る左サイドバックは「今日の朝も、バスで移動する時にずっと(マルセロの)プレーをYouTubeで見ていたんですよ。彼は結構ゴール前でシュートを打っていたので、(自分も)打ったら入るんじゃないかというのはちょっと頭の中にありました」と明かした。

「自分は本当にアシストをイメージしていた」と語りながら、ゴールのイメージは「30%くらいはあったかな(笑)」とも。ずっとシュートやロングパスをしっかりミートする練習を繰り返してきた成果が選手権という最高の舞台で発揮された。

 佐賀東の目標は、昨年のベスト16を越えることよりも高く、日本一だという。それでも「(毎試合)自分たちの全力を出し切る感じでやっている。目標は日本一なんですけど、一戦一戦本当に大切にやりたいです」と都渡は気を引き締める。

 2回戦では福井県代表の北陸高校と宮崎県代表の日章学園の勝者と対戦する。知に足をつけ一戦必勝を誓う佐賀東の日本一への挑戦はまだ始まったばかりだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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