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欧州予選10戦10勝、進化する前回王者ドイツ。最強の“パーフェクト・フットボール”【ロシアW杯全32チーム紹介】

6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回は前回優勝国のドイツを取り上げる。(文:本田千尋)

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介 text by 本田千尋 photo by Getty Images

弱点らしい弱点は見当たらず

ドイツ代表の“懸念事項”であったCFのポジションに台頭したティモ・ヴェルナー
ドイツ代表の“懸念事項”であったCFのポジションに台頭したティモ・ヴェルナー【写真:Getty Images】

【ドイツ代表】
FIFAランキング:1位(2017年12月)
監督:ヨアヒム・レーブ(2006年~)
17大会連続19回目の出場
最高成績:優勝(1954年スイス大会、1974年西ドイツ大会、1990年イタリア大会、2014年ブラジル大会)
欧州予選グループC 1位通過

 2006年7月にドイツ代表監督に就任して以来、10年以上にわたる長期政権を続けるヨアヒム・レーヴ監督。ノルウェーやチェコ、北アイルランドと同居したロシアW杯欧州予選グループCを“10戦10勝”と圧巻の戦績で首位通過した。

 同じグループのサンマリノやグループGのリヒテンシュタインなど、欧州予選で“10戦全敗”したチームは数あれど、“10戦全勝”したチームはドイツのみである。

 43得点4失点の成績が示すように、ロシアに至る道程で、ドイツ代表はまさに“パーフェクト・フットボール”を披露。レーヴ監督が選択する基本布陣は[4-2-3-1]、もしくは[3-4-2-1]。優勝したW杯ブラジル大会、ベスト4に終わったEURO2016に引き続き、ポゼッション・スタイルを追求している。

 攻撃時には左右両サイドバック、ウイングバックが高い位置を取り、全体を押し上げて敵陣に人数を掛けていく。ボールロスト時の高い守備意識も徹底。攻撃時にはボランチに入るトニ・クロースを中心に、少ないタッチ数でボールを確実に回し、ポゼッションを高めていく。

 DFラインからはマッツ・フンメルスが正確なロングフィードを前方に送る。左SBヨナス・ヘクターや右SBヨシュア・キミッヒが、内側にポジションを取ってMF的な役割を果たすことも特徴的だ。そこからキミッヒが味方との連動でペナルティエリア内に進入し、ゴールを奪うこともある。

 アタッキングサードではユリアン・ドラクスラー、メスト・エジル、トーマス・ミュラーらが流動的に動く。サイドに流れて起点になれば、中央に人数を掛け、細かくパスを繋いで崩していく。得点源は誰か特定の選手に頼ることはなく、予選で出場したほぼ全ての選手が、少なくとも1点はゴールを決めている。

 また、レーヴ監督は、“懸念事項”にケリをつけることに成功した。ミロスラフ・クローゼの引退した14年以来、人材不足だったセンターFWのポジションに、ティモ・ヴェルナーが台頭。戦術的バリエーションが広がった。

 マリオ・ゲッツェの0トップに頼りがちだった前線も、爆発的なスピードで裏に抜け出す新参者を起用することで、ダイレクトプレーでさらに敵に脅威を与えることが可能となった。ドイツ代表は、新たな武器を手に入れることに成功したのである。

 そんな“トータル・フットボール”を地で行くドイツ代表に、これと言って弱点らしい弱点は見当たらない。強いて言えば、高い位置を取る両SBの裏のスペースだ。本大会で順当に駒を進め、カウンターを得意とする強豪と当たれば、手を焼くことになるかもしれない。

 前人未到のW杯2連覇を達成するために、まずはボールを奪われた時のリスク管理を徹底したいところだ。

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