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井手口陽介、プレミア挑戦へのロードマップ。英国の特殊な労働許可証取得問題の現実

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

特例だった宮市亮。現在は条件満たさず労働許可証取得は困難に

宮市亮
アーセナルやボルトンでプレーした宮市亮は特例で労働許可証を取得していた【写真:Getty Images】

 昨夏リバプールに加入したモハメド・サラーは、世界ランキング31位(2017年12月現在)のエジプト代表の押しも押されぬエースだ。もちろん、上記の判断基準を余裕でクリアして労働許可証を得ている。2015年7月から2017年7月までの24ヶ月間にエジプト代表は22試合を行い、そのうちの15試合にサラーは出場。これは68%の出場率という計算になる。

 加えてサラーは怪我で招集されていない時期もあったが、上記には負傷中の期間に行われた試合も含まれている。実際には、選手が怪我をしている期間に行われた試合数は計算に含まれないため、本当の割合はさらに高くなるはずだ。

 上記の代表の要項を満たせない選手の場合、特別措置が下されることもある。Exceptions Boardと呼ばれる特例委員会が、以下を基準としたポイントシステムで選手を審査し、一定以上のポイントを獲得した場合には特別にGBEを推薦する。

・現在所属しているクラブの格
・これまでのキャリアの経験値
・移籍金の金額
・サラリー
・稀有な才能を有しているか

 以前はポテンシャルが高いとみなされた若手の有望選手が特別措置を受けることも少なくなかった。代表的な例が宮市亮だ。2010年12月にアーセナルと契約したものの、英国の労働許可が下りずにその後半年間はオランダのフェイエノールトへ期限付き移籍。しかし2011年夏に再申請した際には、代表経験のまるでない日本人が、特例措置で労働許可を得たのであった。

 とはいえ、現在はこういった特例は極めて稀なケースとなった。「外国人の増え過ぎ」が問題視されている英国では、与党の保守党の政策もあり、近年は特に就労ビザの取得が困難になっている。

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