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主審が選手に報復のキック? 経験豊富な人物の“暴挙”。前代未聞、衝撃的な珍事の顛末

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

選手からの申し立てなどに厳しいという評判

シャプロン主審に蹴られたナントDFジエゴ・カルロス
シャプロン主審に蹴られたナントDFジエゴ・カルロス【写真:Getty Images】

 そして当人であるジエゴ・カルロスは、

「一瞬何が起こったのかわからなかった。そもそも突然進路を変えて自分の前に出てきたのは彼。それで転んで、僕に蹴りを入れてきた。だから彼に『いったいなんのつもりだ?』と聞いたら彼は僕にイエロー、続いてレッドカードを突きつけた。僕はただ、彼がどんなつもりでああいうことをしたのか知りたかっただけだった」

「でもレッドカードが取り消しになったから今となってはもうどうでもいい。彼の処分についても僕の知ったことではないよ」

 と後日地元紙ウエスト・フランスに語っている。

 世界中のメディアやギャリー・リネカー、イケル・カシージャスらサッカー関係者もツイッターなどでこの件について発信した。カシージャスは「この審判は最低でも3試合は謹慎処分にすべきだ」と書いている。

 シャプロン氏は2004年からリーグアンの審判を務め、これまでに216試合を担当。2007年から国際審判の資格も有して、欧州カップ戦やワールドカップ予選などで笛を吹いている。

 45歳の彼は、現在リーグアンでは2番目に年長のレフェリーで、今季限りで引退することを以前から表明していた。

 シャプロン氏は、カードを乱発することで有名なタイプの審判ではないが、以前から「選手からの挑発、申し立てに厳しい」といった面はクローズアップされていた。

 元フランス代表のヨアン・キャバイエもリールでプレーしていた時代、退場処分となったチームメイトについて「なぜ今のプレーが?」とシャプロン氏に申し立てたところ、彼も退場処分にされたという。

 また2015年には、試合でハットトリックを決めたズラタン・イブラヒモビッチが試合後にもらうべきマッチボールを、「君は以前審判を侮辱したから」という理由で渡さなかった、という一件もあった。

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