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柴崎岳がヘタフェの中心になるために。適任はトップ下、信頼寄せられる攻撃の展開力【現地記者の目】

text by ホセ・アントニオ・デ・ラ・ロサ photo by Getty Images

柴崎のポジションはやはりトップ下

ヘタフェを率いるホセ・ボルダラス監督
ヘタフェを率いるホセ・ボルダラス監督【写真:Getty Images】

 ヘタフェ指揮官ホセ・ボルダラスは柴崎を1-4-2-3-1のトップ下、35歳のベテランストライカーであり、現在のヘタフェの攻撃を支えるホルヘ・モリーナの後方に配置している。トップ下はおそらく、彼のテクニック、フィジカルに最も適しているポジションだ。

 ペナルティーエリアに近く、周囲に多くの選手が位置し、その創造性を存分に発揮できる。その一方で欧州、ことスペインにおいて強靭なフィジカルが求められるボランチのポジションと比べて、守備の要求は高くない。

 スペイン代表、バルセロナでシャビ&イニエスタの中盤の創造的選手が覇権を握った時代もかつてはあった。だが現在はより屈強で、走行距離が長い選手がピッチ中央で幅を利かせている。守備の強固さを生命線とするヘタフェというチームにあって、柴崎がボランチとしてプレーする機会は限られるだろう。

 たとえばリーガ第18節アトレティコ・マドリー戦では、ジエゴ・コスタの退場によって彼らが数的不利に陥り、そのために途中出場の柴崎がボランチとしてプレーしている。確かに日本人MFはヘタフェの攻撃を操っていたが、それはアトレティコの危険なカウンターを許すことにもつながり、ボルダラスが満足するには至らなかった。

 また柴崎は、テネリフェ時代を含めてサイドもプレーポジションとしてきた。スピードはそこまででもないが飛び出しのタイミングがうまく、良質なクロスも上げることができる。サイドハーフを務める機会はこれからもあるだろう。

 ただ、ボルダラス率いるヘタフェの攻撃は、アトレティコからレンタル中のアマトら、サイドにスピードのある選手を配することで成り立っており、柴崎をそこに置くのは限定的な機会にとどまるはず。彼の役割はトップ下で、そうしたサイドの選手のスピードを、スルーパスで引き出すことになる。

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