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時間と空間操る左足。ベルナルド・シルバ、マンCが誇るプレーメーカー型ウイング【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

プレーメーカー型ウイング

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ベルナルド・シルバはウイングの名産地ポルトガルが生んだ選手である【写真:Getty Images】

 ポルトガルはウイングの名産地だ。ヨーロッパではオランダと双璧だろう。

 ルイス・フィーゴは右も左もこなせる名ウイングだった。リカルド・クアレスマも左右両方できるが、左サイドから右足のアウトサイドでカーブをかけたクロスがトレードマークという変態系である。すっかりゴールゲッターになったクリスティアーノ・ロナウドも二十歳そこそこのころはフェイントがうるさい変態ウイングだった。

 ほかにも逆足タイプのシモン・サブローサ、左右どちらもOKのナニ、古くは少しだけJリーグでもプレーしたパウロ・フットレ、ベンフィカのレジェンドであるジョゼ・アウグストなどを輩出している。

 ベルナルド・シルバは名門ベンフィカのユース育ちだが、ブレイクしたのはリーグアンのASモナコだった。ポルトガル人のレオナルド・ジャルディム監督が率いるモナコはハメス・ロドリゲス、ラダメル・ファルカオが移籍して若手への切り替えを図っていた。

 ベルナルド・シルバは4-4-2の右サイドハーフとして活躍し、昨季はCLベスト4とリーグ優勝の原動力となっている。

 このときのモナコはヨーロッパ屈指の得点力を誇っていたが、実はカウンターが得意なチームだった。GKやDFからの丁寧なビルドアップはなくて、相手に寄せられたら躊躇なくロングボールを蹴っていた。攻撃時間が長いわけではなく効率が良かったのだ。

 カウンターでベルナルド・シルバへボールが入ったら、例の左アウトの深い切り返しでマークを外すと、間髪入れずに正確なラストパス、復帰したファウルカオやキリアン・エムバペへチャンスボールを供給し続けた。

 シティはモナコとは対照的なチームだが、ベルナルド・シルバは上手く馴染んでいる。インサイドハーフでもプレーできるタイプであり、本人もダビド・シルバを見習っているという。たんなる突破型のウイングではなく、時とスペースを操れるクオリティを持つ。これからまだまだ伸びていきそうだ。

(文:西部謙司)

【了】

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