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ミスター100%、トニ・クロースは“失敗できない”体質。皇帝以上のノーエラー主義【西部の目】

パス成功率において、トニ・クロースの右に出る者はいない。90%以上は珍しくなく、100%を記録したことすらある。比較的自由なセンターバックならいざ知らず、クロースは中盤で常に相手に警戒される選手だ。常に冷静沈着、そのプレーからは『失敗』を想像することの方が難しい。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

100パーセントの男

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トニ・クロースはミスをするほうが難しい選手といえるかもしれない【写真:Getty Images】

 トニ・クロースがパス成功率100%を記録したのは2015/16シーズンのバレンシア戦、アウェイのメスタージャでの試合だった。オールラウンドな能力を持つ選手が「完璧」と表現されることはあっても、完璧な選手が完璧なプレーをすることはまずない。MFとして数多くボールにタッチし、チームトップクラスのパスを出すクロースの成功率100%はまさに完璧なプレーといえるだろう。

 一般にパス成功率が最も高くなるのはDF、とくにセンターバックだ。リスクを避けているのと、さほど相手からのプレッシャーがないので、センターバックのパス成功率は高くなる傾向がある。

 クロースの場合はミスを避けているというよりも単純にミスをしない。90%以上の成功率を記録したのは一度や二度ではないのだ。ミスをするほうが難しい選手といえるかもしれない。

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