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現バルサ指揮官バルベルデのサッカー哲学。スターのエゴとグループが調和する神秘【インタビュー】

2017/18シーズンからバルセロナを率い、UEFAチャンピオンズリーグでは準々決勝に進出し、スペインのラ・リーガでは第29節時点で未だ無敗と好成績を残しているエルネスト・バルベルデ監督。現役時代もバルセロナに所属した元FWのフットボール哲学はどのようなものだろうか。かつてスペインの『パネンカ』誌が敢行したインタビューで、その一端が明かされている。(取材・文:アイトール・ラグーナス【パネンカ/バルセロナ】、翻訳:江間慎一郎)

text by アイトール・ラグーナス photo by Getty Images

貴重なバルベルデへのインタビュー

17/18シーズンからバルセロナを率いているエルネスト・バルベルデ監督
17/18シーズンからバルセロナを率いているエルネスト・バルベルデ監督【写真:Getty Images】

 エルネスト・バルベルデのことを、皆が口々に話している。ルイス・エンリケの後任としてバルセロナを率いるという報道がなされてから、実際にカタルーニャのチームを率い、快進撃を続けている今現在まで、ずっと状況は変わらない。

 しかしながらバルセロナは基本的に監督インタビューを許可しないため、最近に彼という人物に興味を持ち始めた人たちにとっては、神秘的な存在であり続けている。バルベルデの記者会見やベンチでの振る舞いは冷静そのもので、口にする言葉は客観的なものが多い。その人物像は、なかなかにつかみづらい。

 スペインのフットボールカルチャーマガジン『パネンカ』誌は過去に、そんなバルベルデのインタビュー記事を掲載していた。バルベルデがアスレティック・ビルバオを率いていた2016年のインタビューで、記者として活動し、現在はリーズ・ユナイテッドのスカウトを担当するガビー・ルイスとの対談形式で行われたものだった。

 今回『パネンカ』誌から許可を得て、その中でバルベルデに向けられた質問、そしてその返答部分を切り取って掲載する。

 バルベルデはこのインタビューで、リーガで生まれていた格差への警鐘に同意し、またジャーナリズム論にも言及するなど、現在の立場であればあり得ない、アスレティック監督という立場だったからこそできる話をしている。

 また、その一方で「コレクティブは個の力を受け入れるもの」というバルセロナを率いている現在にも通じる哲学も明確に示していた。

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