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現バルサ指揮官バルベルデのサッカー哲学。スターのエゴとグループが調和する神秘【インタビュー】

text by アイトール・ラグーナス photo by Getty Images

ビッグチームとスモールチームの圧倒的な格差

インタビュー当時はアスレティック・ビルバオの監督を務めていた
インタビュー当時はアスレティック・ビルバオの監督を務めていた【写真:ダビド・ラモス】

――結局のところ、監督は戦術に精通するほか、集団を管理する仕事を引き受けているのでしょうね。

V 疑う必要はない。チームが機能するかしないか、その秘密の大部分がそこにこそある。グループは自分たちを最高の存在にしてくれるのかを見ている。その点に関して、選手たちはとても頭が良い。監督はロッカールームに入った時点から試され、その価値を見定められている。

――そのために、第一線の選手ではなかった監督を見つけるのが難しいのでしょうか?

V そうは見ていない。(元選手であることが)必要条件とは思っていないよ。元選手はロッカールームのことを把握しているという利点がある。しかし根本的に、選手の興味は自分を助けてくれるかどうかにある。

――フットボールの経済面と、純粋なスポーツ面の行き先について、どう感じていますか?

V 選手たちは私の時代と比べて、格段にプロフェッショナルになっている。フィジカル的な要素がもっと重視されるようになったし、以前ならばチームに腹の出てる選手が必ずいたが、しかし今は……。

 アドゥリスを考えてみてくれ。彼は35歳でキャリア最高の時期を過ごしている。これ以上ない完璧な状態だからだよ!

 それと、もちろんビッグチームとスモールチームの格差は認識している。しかしここスペインで、私たちはバルサとマドリーの間に割って入る可能性がない時代にかち合ってしまった。

 カンプ・ノウやベルナベウに赴くのは常に難しいことだったが、勝ち点100を獲得したり、50ゴールを決めるピチーチ(リーガ得点王のこと。ピチーチの名は往年の名FWの愛称に由来)たちがいたりするこの圧倒的な状況は非常に抗し難い。

 この状況が今後も続くのかは分からない。ただ思うに、少しだけ勢いが落ちるのではないだろうか。全体的な競争が、もう少し活気づくといいのだがね。

(取材・文:アイトール・ラグーナス【パネンカ/バルセロナ】、翻訳:江間慎一郎)

【了】

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