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日本代表 6年前

【識者の眼】なぜハリルを親善試合後に解任したのか? 「狂気の沙汰」を生んだJFAの共有不足と危機管理能力の欠如

text by 河治良幸 photo by Getty Images

本来あるべき親善試合の意味とは?

 本大会での多くのアイデアがあり、それは最終的に選んだメンバーで決まってくるとハリルホジッチ監督は語っていたが、少なくともそれらを関係者らに提示し、道筋を示すことができていればよかったのかもしれない。現時点での問題をどうクリアしていくべきか見えるし、そのプランに選手がどう向き合って課題に取り組んでいくべきか明確になる。それでもチーム戦術を逸脱する主義・主張をしてくる選手がいれば、それは選手の問題になる。

 ワールドカップ本大会という大目標がありながら、いかなる事情があれ、その過程にすぎない親善試合の後に監督を解任する事態になったこと自体が大きな問題である。仮に解任の可能性があったとしても、親善試合であろうと3月の2試合は結果を出すことが重要で、節目になることを監督と会長、西野氏を含む技術委員会で共有するべきだ。

 どの試合も負けるためにやるわけではないが、ノルマがあればハリルホジッチ前監督も自分がやりたいテストの部分を多少抑えて結果にこだわる割り切った采配ができたかもしれない。それは昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権にも言えることだ。

 ワールドカップの予選と本大会で結果を出すことを絶対的な基準とするなら、親善試合の結果へのこだわりほど不毛なことはない。親善試合の勝利がワールドカップ本大会での結末を何も約束してくれないことは、日本もブラジルワールドカップで思い知っているはずだが、国内での人気や機運といったもののために結果が重視されることもある。またチーム内でも勝つことで内部の不満が封印されることも事実としてあるわけだ。

 4年前のブラジルワールドカップでアルジェリア代表をベスト16に導いたハリルホジッチ氏について、一般的に認識不足になりがちな事実がある。コートジボワール代表では南アフリカワールドカップの予選を圧倒的な強さで突破しながら、アフリカネーションズカップの敗退後、ワールドカップの約3ヶ月前に解任され、本大会での指揮を逃した経験を持つ。

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