選手生命の危機を乗り越え。険しい道を選んだ原口元気。今求められるゴールという結果【日本代表当落線上の男たち】

2018年04月21日(Sat)12時03分配信

シリーズ:日本代表当落線上の男たち
text by 元川悦子 photo Getty Images
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移籍早々に襲ったアクシデント。代表も不完全燃焼で…

 そんな矢先の2月2日のザントハウゼン戦。後半立ち上がり早々に相手選手と競り合った際、頭を強打し、脳しんとうと診断される。「頭蓋骨にひびが入っていたらロシアどころじゃなかった」と本人も語るほどの大きなアクシデントで、約1ヶ月の長期離脱を強いられた。

「最初の10日間はホテルの暗い部屋に閉じこもりっきりで、安静にしてなきゃいけなかった。テレビはもちろん、スマホを見るのも禁止。音楽を聴くことも脳に影響する可能性があるのでダメだった。やることがないので、ホントにしんどかったですね。ちょっと歩くだけでめまいがするし、『これっていつ終わるんだろう』という恐怖心が強かった。ロシアや代表のことを考えるより、そっちの方が心配でした」

 少年時代から大きなケガとは無縁だっただけに、彼が感じたストレスは計り知れないほど大きかっただろう。

 2月下旬に本格的なトレーニングを再開し、3月4日のザンクトパウリ戦で公式戦復帰を果たしても、まだめまいが完全に消えたわけではなかった。それでもフンケル監督は11日のデュイスブルク戦、16日のビーレフェルト戦に連続でスタメン起用。あえて試合に出すことで早期回復を促したのだ。

「この時期に復帰できたのはホントにポジティブだった。僕と当たった選手はまだ全然戻れていないんだから。ほぼ90分出て『100%大丈夫』という確信が持てたのは大きかった。チームも2部の首位をキープしている。それは誇れることですね」と3月下旬の日本代表合流直前にも原口はしみじみ語っていた。サッカーができる喜びをかみしめながら、彼はベルギーに向かったはずだった。

 ところが、ロシアワールドカップに挑むメンバー発表前最後の親善試合で日本代表は低調な戦いに終始する。2戦目のウクライナ戦に左FWで先発した原口も守備に忙殺され、シュートを打つところまで持ち込めない。

 後半の59分に強引にドリブルで持ち上がる場面もあったが、ペナルティエリア内で倒されたシーンはシミュレーションと判断され、PKは得られなかった。この一挙手一投足を見ても、彼にはゴールに絡めない苛立ちが強く見て取れた。2016年11月のロシアワールドカップアジア最終予選・サウジアラビア戦(埼玉)から1年4ヶ月も代表でゴールがない状態に誰よりも強い危機感を抱いていたのは間違いないだろう。

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