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代表 6年前

ハリル解任の日本が反面教師にすべきイングランド。サッカーの母国が繰り返してきた失敗の歴史

text by 山中忍 photo by Getty Images

イングランドを反面教師に。日本が学ぶべきこと

イングランド
FA創立150周年記念パーティーにて。左からいずれも元イングランド代表監督のロイ・ホジソン、ファビオ・カペッロ、スベン・ゴラン・エリクソン【写真:Getty Images】

 2012年当時のイングランドとの違いは、嬉しい誤算と呼べる結果もあり得ることか。ワールドカップ初出場から20年目の「サッカー発展途上国」である日本は、まだベスト16が過去最高の成績。そのベスト16入りを果たした南アフリカワールドカップでの「岡田ジャパン」は、直前で監督が変わった今回ほど混沌としてはいなかったにしても、開幕前にはお先真っ暗のような見方をされてもいたはずだ。

 とはいえ、代表の本格的な進歩を目指す上で肝心なことは、一喜一憂などせず、長期的なビジョンの下にチーム作りを進めること。イングランドの監督交代劇に欠けていた要素だ。

 選手との距離が遠かったとされるホドルの後には親分肌のキーガンが選ばれ、対照的にクールなエリクソンを呼び寄せた後にはフレンドリーなマクラーレンが内部昇格し、厳格なカペッロでもダメとなれば愛国心旺盛なホジソンで母国人路線に再変更、母国史上最悪の敗戦を受けて結果重視のアラダーイスに声が掛かり、モラル軽視による事実上の解任を経て実直なサウスゲートに行き着いた。いずれも、大切な「未来」ではなく、直前の「過去」へのリアクション的な監督人事だった。

 現在の日本代表も、8年前のイングランドと同様に主軸の世代が変わり始める時期に差し掛かっている。ロシアワールドカップ後は、西野ジャパンでのワールドカップ以上に重要。であれば尚更、黄金世代が輝かず、続く世代交代にも手間取ったイングランドの失敗から学ばなければならない。唯一にして最後の主要国際タイトルである1966年のワールドカップ優勝から半世紀以上が過ぎている、「サッカーの母国」を反面教師として。

(取材・文:山中忍【イングランド】)

【了】

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