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本田圭佑 6年前

日本代表にとっても“死活問題”に? 本田圭佑がメキシコでプレーオフ進出を逃せない理由

text by 河治良幸 photo by Getty Images

西野新監督も懸念示す。日程面の悪影響

 こうした決着方法には当然ながら反対意見もあった。特にレギュラーシーズンのリーグ戦で最も勝ち点を挙げながら、リギージャで敗れて優勝を逃したクラブ側の人間にとっては常に納得しがたいものだ。例えば2013年の後期リーグではクルス・アスルが11勝3分3敗の勝ち点36で1位となったが、リギージャでは8位のレオンに敗れ、2位のトルーカも準決勝で同じくレオンに屈した。

 決勝はレオンとレギュラーシーズン6位のパチューカによって争われ、ホーム&アウェイの合計スコア4−3でレオンが優勝した。こうしたケースは決して例外的ではない。ホーム&アウェイ2試合のスコアが全く同じ場合はリーグ戦の上位だったチームが勝ち上がるというアドバンテージはあるが、レギュラーシーズンはとにかく8位以内に入るというのがノルマになっているのが実情だ。

 とはいえ興行的な側面から考えれば、より多くのクラブに優勝のチャンスが与えられ、シーズンの終盤に大きな盛り上がりを見せるという意味では効果的であり、実際にスタジアムもリーグ戦より集客が多くなる。リギージャ導入の背景には大手スポンサーや主要クラブを所有する2大テレビ局の意向も大きく影響している。またメキシコ人のお祭り好きの習性も、こうした形式を許容している要因ではあるだろう。

 前期リーグは12位でリギージャ進出はならなかったパチューカ。後期リーグでその権利を獲得できれば本田にとっても大きな経験となるが、それ以上にリギージャを逃せない大きな理由がある。リギージャは1ヶ月近く、決勝まで進めば最大で6試合を戦うが、これに参加できないクラブはその時点でシーズン終了となるためだ。

 仮にパチューカがリギージャ進出を逃せば本田は5月下旬から予定される日本代表のロシアワールドカップ直前合宿まで3週間以上もオフになり、試合勘の維持などコンディション作りが非常に難しくなる。日本代表を率いることが決まった西野朗新監督は就任会見でメキシコリーグの日程面の懸念を語っていた。

 1年契約でパチューカに加入した本田は前期リーグこそ3得点1アシストだったが、後期は7得点7アシストと抜群の存在感を発揮し、国内外で大きな注目を浴びている。パチューカとの契約延長を保留したとも伝えられる。パチューカ、そしてメキシコに確かな足跡を残す意味でもリギージャは悲願となるが、本田自身がキャリアの集大成と語るロシアワールドカップに最高の状態で臨む意味でも逃せない。

(文:河治良幸)

【了】

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