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ディマリアが纏う『くせもの感』。メッシをサポート、エース以上の存在感【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

玉突き人事と適応力

 ベンフィカはアトレティコ・マドリーへ移籍したシモン・サブローサの後釜を探していた。シモンと利き足は逆の左だが、変幻自在のドリブルと正確無比なラストパスはベンフィカが求めるタイプだった。

 ベンフィカに移籍した2007年には、ディエゴ・マラドーナが「アルゼンチンの次代のスーパースター」と太鼓判を押していた。変態的なボールタッチと加速力、ピンポイントの左足キック、一瞬の隙を見逃さない目。細いのに接近戦に強く、体のさばき方が普通ではない。ポルトガルで活躍した後、2010年にはレアル・マドリーへ移籍。ウイングだけでなくインサイドハーフとしてもプレーして幅を広げた。

 レアル・マドリーはスター揃いのチームだが、全員の個性が尊重されるわけではない。左サイドはクリスティアーノ・ロナウドがいるので、ガレス・ベイルは右でプレーしなければならなかった。そうするとディマリアの居場所は右にも左もないわけだ。中央へのコンバートは玉突き人事の結果なのだが、ディマリアはそこで力を発揮している。CL10冠目のデシマは、ディマリアの献身なしにはありえなかっただろう。

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