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ディマリアが纏う『くせもの感』。メッシをサポート、エース以上の存在感【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

エースより目立つ

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アルゼンチン代表の“主役”、リオネル・メッシ【写真:Getty Images】

 2014年、ワールドカップが終わるとトニ・クロースとハメス・ロドリゲスがレアルに加入した。ブラジルで最も輝いた2人が来たことで、ディマリアはレアルから出ることを決意する。カルロ・アンチェロッティ監督は「彼だけは出すな」と念を押してオフに入ったにもかかわらず、レアルは結局ディマリアをマンチェスター・ユナイテッドに放出してしまったわけだ。

 移籍金はプレミアリーグ記録の5970万ユーロ、背番号は7番。ユナイテッドのエースナンバーで、ジョージ・ベスト、ブライアン・ロブソン、エリック・カントナ、デイビッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウドが背負ってきた背番号だ。ところが、ユナイテッドの未来を託されたはずのディマリアはわずか1シーズンでパリ・サンジェルマンへ移籍している。パリへ移った2015年時点で、ディマリアの移籍金累計は1億7700万ユーロとなり史上最高額となった。

 ユナイテッドではルイ・ファンハール監督と合わず、メディアからシーズン最悪の補強と酷評されたが、プレーぶりがそれほど悪かったわけではない。ただ、期待が大きかったわりには活躍できなかった。パリSGでは2015/16シーズンに18アシストのリーグアン新記録樹立し、好調を取り戻す。しかし今季からネイマールとエムバペが加入してディマリアはポジションを失い、一時は中国への移籍も噂されていた。

 ディマリアはどのチームでもエースになれる実力者だが、その実力ゆえにビッグクラブに属し、ロナウドやネイマールの引き立て役に回された。

 アルゼンチン代表でもリオネル・メッシをサポートする立場にある。ただ、持ち前のハードワークと適応力で名脇役を演じている。しかもくせのある脇役でありトリック・スターだ。エースでないのにエースより目立つこともある。やはり、くせもの感がハンパない。

(文:西部謙司)

【了】

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