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代表 6年前

蘇る不死鳥、ラダメル・ファルカオ。4年前の悔しさをバネに最後の大舞台へ【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 小川由紀子 photo by Getty Images

イングランドでは不遇も…。ネガティブ発言はなし

 しかしそれはまったくの杞憂だった。

 この年ファルカオは、全コンペティション合わせて30得点をマークした。
モナコはこのシーズン、チャンピオンズリーグに予選から参加し、準決勝まで到達した史上初のクラブとなったが、この大会だけでも7点をあげている。

 プレミアリーグで成功できなかったのにはいくつかの要素が重なっていた。

 1年目は膝の十字靭帯損傷という大怪我から復帰したばかり。
 
「そんな状態でいきなりトップレベルのコンペティションへの挑戦は無謀だった」と後でモナコのレオナルド・ジャルディム監督も苦言を呈していたが、コンディション以外にも、当時のルイ・ファン・ハール監督のシステムにフィットしなかったことも大きな要因だった。

 しかしファルカオ自身の口から、プレミアリーグへの挑戦についてネガティブな言葉が出たことは一度もない。

「あの夏、プレミアリーグでプレーできるチャンスがめぐってきた。だからそのチャンスを獲った。あの経験からも僕は多くのものを学べた。人間としてもタフになれた」と。

 しかしチェルシーでのシーズンでの終わりごろは、モナコに戻ることしか考えていなかったという。とにかく、試合に出られる場所を求めていたのだ。

 ファルカオにとってラッキーだったのは、不在の2年間でチームはガラリと入れ替わり、出戻ったこの年のチームに、無名だが、なんとも上昇志向が旺盛で、エネルギッシュな若手メンバーが揃っていたことだ。

「夏にチームに合流してすぐに感じた。このチームはなんだかすごく良いスピリッツがあるぞ!とね。」

 とインタビューでも語っていたが、テレビのサッカー番組で、元フランス代表のMFオリヴィエ・ダクールに「若手の攻撃手がたくさんいて、脅威に感じないか?」と聞かれた時にもファルカオは、「え?どうして?むしろうれしいよ。だって活気があっていいじゃないか!」と満面の笑みで答えていた。

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