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イニエスタが日本に!? 実現したら最高だ。“一握りの中の一握り”に期待すること【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

イニエスタの間合いに相手が入れない理由

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イニエスタは日本にやって来るのだろうか【写真:Getty Images】

 グアルディオラもイタリアやカタール、メキシコでプレーした。シャビもカタールに行った。バルサという環境がどれだけすごかったか。そうじゃない環境でやっている選手なんてたくさんいる。それもサッカーだけど、グアルディオラやシャビもそういうことを肌で感じたかったんじゃないかな。

 イニエスタの退団に寂しさはあるけど、バルセロナというチームの最高の時代にハマったよね。バロンドールを獲ってもおかしくないのに、2人の別次元がいるから獲れなかった。でも「イニエスタがいなかったらバロンドールは獲れなかった」と、メッシは思っているはずだよ。

 イニエスタの凄さって色々あるけど、トラップや持ち運びに凝縮されている。自分の前にも、股下にも、後ろにだって止められる。相手の出方によって、どこに止めたらいいのかがすぐに判断できるし、その瞬間に逆を取っている。相手にとっては「そこに足は出せない」という位置に。イニエスタはそれでしょう。ファーストタッチはもちろん、相手が力を入れた瞬間に別の方向に持ち出すから、間合いに入れないんだ。

 教えられてああいう選手に育ったわけではないと思う。指導者が教える以上のことをやるからね。「こういうタイミングで出て行け」と指導者が言っても、別のプレーで打開していくような。対戦相手からしたら、テレビゲームの中の選手だよね。

 ただ、ミスもある。そうすると、「やっぱり潮時か」と思われちゃうんだよ。みんなミスするのに、それがイニエスタだと「今までと違う」となる。なぜかというと、今までが凄すぎたから。スルスルと抜けていって、何で入って行けちゃうんだって。タイミングをズラしているからだよね。毎回、彼を見るのが楽しみだった。

 そんな選手が日本でプレーするかもしれない。本当に実現したら・・・面白いね!

▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。

【了】

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