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代表 6年前

長友との激闘再び。コロンビアの高速ウインガー、クアドラード。4年の時を経て得た円熟味【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ウディネーゼのスカウト網が見出した才能

 コロンビアのネクコリ出身の29歳。13歳の時からアトレティコ・ウラバというクラブで育てられ、そのテクニックには当時から「まるでブラジル人のようだ」と評判が上がっていたという。

 やがて彼はコロンビアの古豪インディペンディエンテ・メデジンの下部組織に移り、19歳の時にトップチームに引き上げられプロデビューを果たした。デビューシーズンは21試合出場で2ゴール。この活躍が、ウディネーゼのスカウト陣の目に留まった。

 ウディネーゼは世界の津々浦々に情報網を張り、将来性のある若手を引っ張って育てるという補強戦略を取っていた。特に南米には強いコネクションを確立しており、のちにスターとなる多くの選手を発掘。バルセロナやアーセナルに行くことになるアレクシス・サンチェスも、この時期に欧州のビッグクラブとの強豪に勝って獲得に成功した。そして彼らはいちはやくインディペンディエンテとの交渉をまとめ、クアドラードをウディネに連れてきた。

 そこから2シーズンほど出場機会には恵まれなかったが、「その間に戦術上のことを多く学ばされた」というクアドラードは、経験を積むためにレンタルされたレッチェでブレイク。セルセ・コズミ監督のもと右ウイングバックとして大暴れを続けた。

 とりわけ、2012年2月19日のシエナ戦で挙げたゴールは伝説に残っている。自陣の深い位置でボールを奪うと、そのままドリブルで中央突破。囲みにきた6人を置き去りにして80m近くを走ると、エリア内でマーカーに尻餅をつかせ、カバーに入った別の選手のチャージを物ともせず、最後は体を投げ出したGKをあざ笑うかのようにループシュートを決めた。

 スピードもさることながら、長い距離を走った後でも精度の高いプレイを可能にする脚力の凄まじさに、イタリアのサッカーファンは度肝を抜かれた。

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