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日本が採るべきアザール対処法。絢爛豪華なベルギーだが…実力差を埋める意外なポイントとは?【西部の目/ロシアW杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

最後のカギはメンタル

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日本代表は強靱な精神力を発揮できるか【写真:Getty Images】

 アザールは別格のアタッカーだ。瞬時のキレ味、ヒラメキ、技術を1対1で止めるのは難しい。キャプテンとしての風格も出てきた。メッシとクリスティアーノ・ロナウドが消えた大会で最上位クラスのスターといえるかもしれない。

 日本とすれば、アザールは「メッシ化」してもらったほうが都合はいい。ベルギーがアザール頼みになってくれたほうが守りやすい。とはいえ、現実的にアザールを90分間抑え込むのは不可能だろう。日本もベルギーに難題を投げてやらなければならない。それがもう1つのカギになると思う。

 ベルギーとオランダは隣同士だが、国民性は対照的だという。新しいもの好きで大胆なオランダ人と違って、ベルギー人は極めて慎重なことで知られている。石橋を叩いても渡らないタイプだというのがベルギー人自身の説明だった。

 2002年日韓ワールドカップの初戦で日本と対戦したベルギーは、確かに手堅いだけが取り柄のようなサッカーだった。16年後、同じ国とは思えないほどプレースタイルは様変わりした。ただ、国民性はそう簡単に変わらないと思う。ことワールドカップに関して、日本代表のメンタルは強いという印象しかない。初出場の最初の試合から、気負いこそあれ気後れした様子を見たことがないのだ。

 実力差がかなり開いている今回のベルギー戦ではあるが、それを埋めるのは意外とメンタルの強さになるかもしれない。根性論は無意味とはいえ、サッカーに心理が大きく影響するのも確かなのだ。アグレッシブに、ベルギーを辟易とさせる日本の強靱なメンタル・タフネスに期待したい。

(文:西部謙司)

【了】

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