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“自分のスタイル”を多様化。ペリシッチの武器。ギグスに似るスラローム系のドリブラー【西部の目/ロシアW杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

相対的なプレー

 ベルギーリーグでは得点王になったこともある。ストライカーとしてもプレーできるのだ。今回のクロアチア代表は、ペリシッチだけでなく複数のポジションでプレーできる選手が多い。

 マリオ・マンジュキッチはどう見ても典型的なCFのようだが、サイドハーフとしても豊富な運動量と献身的なプレーぶりで貢献できる。ルカ・モドリッチ、イバン・ラキティッチはボランチもトップ下もこなす。ほぼ全員が潰しの効くタイプなので、フォーメーションを変化させられるし、それでちゃんと機能する。

 ペリシッチは左でスタートして右へスイッチする、あるいはその逆と試合中にポジションを変えることがよくある。CKなどの流れの中でそうなっていることもあるが、意図的にサイドを変えることも多い。対面の相手選手との相性もあるのかもしれない。サッカーは自分の、あるいは自分たちのスタイルを持つことが大事だが、同時に相手との相対関係は常に考慮されなければならない。

 自分のスタイル、自分たちのサッカーがなければ拠り所がなくなる。しかし、それは相手も同じなのだから相対の中で回答が見つかることもよくあるわけだ。相性の悪いSBと90分間戦うぐらいなら、反対のサイドへ行ってみるのは賢い選択といえる。もっともペリシッチのように左右どちらでもプレーできるという自分のスタイルがなければ、その選択肢はないわけだが。

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